米国のトランプ大統領が、解熱鎮痛薬「タイレノール」の有効成分と自閉症を関連付け、服用を避けるよう呼びかけたことに対し、研究者らから厳しい批判が寄せられている。トランプ氏の「アドバイス」は、数十年にもわたる科学的調査を無視し、母親と乳児を危険にさらす恐れがあるとしている。
トランプ氏はホワイトハウスでのイベントで、タイレノールの有効成分アセトアミノフェンを自閉症と関連付け、女性に発熱に耐えるよう促した。主流の医学を長年にわたり批判してきたケネディ厚生長官も同席しており、発言は医師や製薬会社を動揺させた。
自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)の妊娠関連リスク要因を25年間研究してきたニューヨークの医師で科学者、マディ・ホーニグ氏は、ホワイトハウスの発表は、欧州などでパラセタモールとして知られるアセトアミノフェンに関する科学的知見を、誤って伝えていると述べた。
米産科婦人科学会は、トランプ氏の発言を「無責任だ」と批判した。米国小児科学会も、科学的知見を歪めることは自閉症の人々に対する「不利益」になると指摘した。
英国の医薬品・医療製品規制庁は、パラセタモールが自閉症を引き起こす根拠はないとし、妊娠中に服用しても安全だと表明した。
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原題:Trump Tylenol Claim Risks Misleading Mothers, Scientist Says (1)(抜粋)
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