イスラエルの攻撃によりガサは深刻な飢餓状態に陥っている(写真:AP/アフロ)
イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃に歯止めがかかりません。6万5000人のパレスチナ人が犠牲になりましたが、攻撃はエスカレートするばかりです。こうした中、フランス、英国などがパレスチナ国家の承認に踏み切ることになりました。イスラエルに圧力をかける狙いです。国連加盟193カ国のうち、実はすでに約150カ国がパレスチナ国家を承認済みです。認めていないのは米国や日本など少数の国にすぎません。国家承認の意味はどこにあるのか、日本はどうするのか、やさしく解説します。
(フロントラインプレス)
泥沼化しているガザでの戦争
「中東において公正かつ、恒久的な平和の構築にフランスはこれまでも取り組んできました。これに従って、パレスチナ国家承認を決めました。目下の最優先課題は、ガザでの戦争を終わらせ、市民たちに支援を届けることです」
フランスのマクロン大統領は7月、自身のXでこう表明しました。2023年10月の攻撃激化以降、パレスチナ人の死者は増え続け、その約半数が子どもや女性です。食料や医薬品を積んだトラックの搬入は許されず、飢餓が広がっています。それでもイスラエル軍は「ハマス掃討」を掲げ、最大都市ガザ市のビルを空爆し、地上戦を展開しています。生き残った人たちも行き場を失い、死を覚悟せざるをえない状況です。
マクロン氏の言葉には、イスラエルに攻撃をやめさせなければならない、パレスチナ人を見殺しにはできない、との思いがにじみます。
9月22日の国連総会の場でフランスは、主要7カ国(G7)の構成国である英国、カナダとともにパレスチナ国家を承認する見通しです。米国と歩調を合わせてきたG7の国々がパレスチナを公式に国家と認めるのは初めてのことです。
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そもそもパレスチナ国家とは、どのような意味を持っているのでしょうか。
話は、旧パレスチナが英国の委任統治領だった第2次世界大戦直後までさかのぼります。ナチス・ドイツに迫害されたユダヤ人がパレスチナ地区に続々と押し寄せ、もともと住んでいたアラブ人(パレスチナ人)との衝突が続きました。英国は統治をあきらめ、発足したばかりの国連に委ねます。
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