2020年、石川県の金沢駅金沢港口(西口)から徒歩2分のロケーションに開業した、アートに囲まれる極上の宿泊体験ができるフルサービスホテル「ハイアット セントリック 金沢」とセレクトサービス「ハイアット ハウス 金沢」が今年で5周年を迎えた。両ホテル内には、金沢の伝統を随所に感じさせるインテリアデザインやアートワークが多数揃っている。

ハイアット セントリック 金沢とハイアット ハウス 金沢

ハイアット セントリック 金沢

ハイアット セントリック 金沢の入り口

 同ホテルのコンセプトとデザインは、庭田良一が代表を務めるデザイン事務所、株式会社BOND DESIGN STUDIO(ボンドデザインスタジオ)が担当。金沢ならではの伝統を尊重しつつ、現代的な技法を取り入れたアートワークを通じて、金沢の過去から未来を繋ぐようにデザインされた。同館内のあらゆる箇所に、地元・金沢にゆかりのあるアーティストらの100点以上のアート作品が展示されていることが特徴のひとつ。そのほとんどはBOND DESIGN STUDIOによってキュレーションされている。館内の様子とともに、各所のアートワークについて紹介する。

 まず1階の正面玄関で迎えてくれるのは、2名の作家による迫力のあるコラボ作品だ。小沢敦志による《野鍛治の門冠》は、金沢の街で使われていた鉄の道具を集め、松のモチーフをかたちづくったのちに金箔を施した作品。その後ろにかけられた青い一筆書きの作品は、金沢大学を卒業した大森慶宣によるもの。金沢の街中を巡り日本海へたどり着く犀川と浅野川から、55の用水がわかれている水の街・金沢を表現している。

ホテル内風景より、手前:小沢敦志《野鍛治の門冠》、奥:大森慶宣《Blue Rhythm》

 また1階のエレベーターホールには、金沢の古地図を下刷りした着物に錆と植物染料で雲唐草が描かれた、三尾瑠璃の作品が展示されている。金沢の街を雲の隙間から覗き込むようなイメージとなっており、着物の上に描かれている加賀前田家の家紋として使われた「梅鉢紋」は、このハイアット セントリック 金沢の場所を指している。

ホテル内風景より、三尾瑠璃《加賀国金沢之絵図 銹雲唐草》

 ほかにも、加賀獅子舞に用いられる獅子頭の試し彫り(見本)を作品にしたものや、金沢出身の文豪・泉鏡花の俳句で使われた文字をモチーフにしてつくられたデザインのエスカレーターなども見ることができる。

ホテル内風景より、加賀獅子舞に用いられる獅子頭の試し彫りを用いた作品

ホテル内風景より、杉山陽平《俳句グラフィックス》

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