ジェフリーズ・インターナショナルは、フランス債の格付けがさらに引き下げられれば、一部の投資家が売却に追い込まれる可能性があると指摘した。政情不安と財政懸念に端を発した売りが加速する恐れがある。
ジェフリーズの欧州チーフストラテジスト、モヒット・クマール氏は「ムーディーズ・レーティングスまたはS&Pグローバル・レーティングスによる格下げは、アジア系投資家による強制売却を引き起こす」との見通しを示した。フィッチ・レーティングスは今月すでにフランス債の格付けを引き下げている。
フランス債は、マクロン大統領が昨年突然の総選挙を行って以来、乱高下を続けている。その結果、国民議会(下院)は過半数を占める政党がなく、首相は厳しい歳出削減への幅広い支持を得られず、相次ぎ失脚した。フランス10年債とドイツ債の利回り差(スプレッド)は22日、1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大し82bpと、1月以来の高水準となっている。
クマール氏は顧客向けリポートで「引き続きフランスに対してネガティブな見方を維持し、スプレッドが90bpに向かうと考えている。フランスに対する弱気見通しは、政治的不確実性だけでなく、赤字抑制のための厳しい決断を下す政府の能力にも起因する」と述べた。
フィッチは12日、フランス債の格付けを「AA-」から「A+」に引き下げた。ムーディーズとS&Pより1段階低く、最も安全な信用格付けより4段階低い。モーニングスターDBRSは19日にフランスの長期発行体格付けを「AA(高)」から「AA」に引き下げた。多くのファンドは、高格付けの資産のみを購入するよう義務付けられており、フランス債はさらなる格下げにより、ファンドが債務を売却せざるを得なくなるカテゴリーに押しやられるリスクがある。
ムーディーズは現在、フランスを「Aa3」の格付け、見通しを「安定的」と評価している。次回の更新は10月24日の予定だ。11月28日に次回レビューを予定しているS&Pは、現在フランス債を格付け「AA-」、見通し「ネガティブ」としている。
原題:More French Rating Cuts Risk Forced Bond Sales, Jefferies Says(抜粋)
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