【親方衆の言葉】青森県の誇りは保たれるのか? 142年続く幕内力士の系譜と現在

青森県出身の幕内力士は、1883年(明治16年)から142年、途絶えていません。しかし、継続のピンチを迎えています。

幕内力士は現在、尊富士のみですがケガで休場中。西十両3枚目の錦富士が幕内に戻らなければ、記録は途切れてしまいます。

この事情について、青森県出身の親方衆に話を聞きました。



大相撲2025.09.23 06:00







































































































「お前しかいないんだから」

「こういう状況になったのはしょうがない部分もありますが、(歴史を)つないできたのは自分という自負があります。20歳で入門し、40数年もつないできたのも自分。青森県出身(の幕内力士が)が自分1人の時もありました。

青森県出身者の入門が少なくなっているのは確か。でも、昨日(5日目)、錦富士にハッパをかけてきた。『お前しかいないんだから頑張らないと。踏ん張りどころだ』って。9勝、10勝すれば(再入幕の)チャンスがある。

尊富士もケガが治って2週間いい稽古ができたら、なんとかなる。実力は持っているから。とりあえず、錦富士の頑張りどころですね。

142年というのは、1世代で達成できない。おじいさんのその前からじゃない。続けるのは難しいことだから、途切れないでほしい」

絡んできた赤鷲を受け止める宮城野親方(元横綱旭富士)

絡んできた赤鷲を受け止める宮城野親方(元横綱旭富士)

「途切れさせてほしくない」

「(青森の)相撲人口が少なくなりました。少子化の影響もあります。これだけ本場所のチケットが手に入らないのに、新弟子が減っています。反比例しているんです。これをなんとかしたい。

この記録は142年も続いています。2位に約100年の差をつけている大記録です。数々の先輩方がつないできた記録なので、何がなんでも途切れさせてほしくない。途切れた時は、相撲王国が終わる時です。今後を考えると心配ですが、とにかく今場所はつないでほしい。

将来のために、青森で『若の里杯』という大会を開いています。これはきっかけ作りなんです。青森から1人でも力士になる人が出てきてほしいですね」

「青森の相撲がなくなるわけじゃない」

「ここまで続いたのがすごいこと。続くに越したことはないけど、これで青森の相撲がなくなるわけじゃない。錦富士はプレッシャーを感じずにやってほしい。


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1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。


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