ベッセント米財務長官は、アルゼンチン市場が数週間にわたり混乱する中、ミレイ大統領に対し「安定化のためのあらゆる選択肢」を提供すると約束した。

  ベッセント氏とトランプ大統領は23日にニューヨークでミレイ大統領と会談する予定で、ベッセント氏は22日、「この会談の直後に詳細を明らかにする」とX(旧ツイッター)に投稿した。支援の選択肢には通貨スワップ枠のほか、米財務省の為替安定化基金を通じたドル建て債などが含まれるという。

  この発表を受けて、アルゼンチンのドル建て国債はこの日の高値圏まで上昇。ブルームバーグがまとめた参考価格によると、2035年償還債は1ドル当たり7セント近く上昇し、54セントを上回った。

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ベッセント米財務長官(4月14日、ブエノスアイレス)

出所:AFP

  米国の支援は、ミレイ大統領が4月に国際通貨基金(IMF)と最終合意した200億ドル(当時のレートで約2兆8700億円)規模の支援プログラムに上乗せされる形となる。

  当時、ベッセント氏はペソ防衛のためにミレイ政権が資金を使う可能性は低いとの見方を示していた。ブエノスアイレスでのインタビューで「手元資金が多ければ多いほど、介入の必要性は低くなる。これは市場をなだめるための仕組みであり、私はその動きを注視する」と語っていた。

  しかし、先週にはアルゼンチン中央銀行が通貨市場でペソを支えるため、3日間で11億ドルを売却。ペソへの圧力が強まる中、同国の国債は新興国市場の中で最大の下落を記録した。最近では、ミレイ大統領の妹で側近でもあるカリナ氏が汚職疑惑に揺れたほか、ミレイ氏の与党がブエノスアイレス州の選挙で大敗を喫したことが投資家の不安をあおっている。

  アルゼンチン政府はペソ防衛で貴重な外貨準備を消耗する一方、より多くのドルを確保するため、22日には農産物輸出への関税措置を一時停止すると発表した。

  EMFIセキュリティーズの戦略責任者、マティアス・モンテス氏は「米国の対応にはまだ不透明な部分があるが、何らかの支援策は出てくるだろう」と発言。「農産物関税の措置は、中銀の外貨準備の流出を抑える意味もある」と述べた。 

 

原題:Bessent Says All Options on Table to Help Milei’s Argentina (1)(抜粋)

— 取材協力 Nicolle Yapur

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