日本代表は、来年6月のW杯本大会に向けた本格的準備の第一歩であるアメリカ遠征を、メキシコ、アメリカ両開催国を相手に1分1敗で終えた。FIFAランキングはともに10位台(対戦時にメキシコ13位、アメリカ15位、日本17位)でほぼ同等。メキシコとは近年の対戦成績が偏り苦手意識を感じているものの、アメリカとは歴史的に勝ち負けを繰り返してきた、ライバル関係にある国だといえる。

 フランスではテレビ放映されなかった2試合のダイジェストを、フィリップ・トルシエはパリの自宅で観戦した。日本は1点もあげることができず、試合を見守った日本の人々には、フラストレーションばかりが募った試合を、トルシエはどう評価したのか。日本の準備は、正しい方向に向けて始まったといえるのか。アメリカ戦翌日、トルシエに電話で話を聞いた。トルシエが語るアメリカ遠征の総括を、前後2回に分けてお伝えする。まずはDF長友佑都の招集などにも触れた、前編から〈全2回/第2回につづく〉。

モリヤスにとっては評価を下す、いい機会だった

――日本代表のアメリカ遠征は、メキシコとは0対0で引き分け、アメリカには0対2で敗れるという結果に終わりました。結果はもちろんのこと、2試合の内容をどう評価しますか。

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「メキシコ戦とアメリカ戦に関しては、総合的な評価をしたい。もちろん結果を踏まえてのことだ。2試合を戦い無得点に終わった。どちらの試合でも、ゴールを挙げることはなかった。

 森保一監督はこの強敵との2試合で、選手をテストしたかったのだろう。W杯の準備として、ここでキッチリと仕事をする。森保はそこで2つのチームを起用した。初戦は、すでにステイタスを確立しているチームだった。選手たちは経験を積んでいる。しかし第2戦は、ともにプレーする機会がほとんどなく経験に乏しいチームだった。森保にとっては、国際レベルにおいて選手たちの評価を下すいい機会だった。

 結果と試合のダイジェストを見る限りにおいて、メキシコ戦は日本がゲームを支配した印象を受けた。特に前半の日本は自信に溢れていた。ボールをコントロールして、相手をまったく恐れていなかった。得点のチャンスも何度か作り出し、とりわけ南野拓実のボレーシュートは決定的と言ってよかった」

クボ、ミナミノ、ミトマ、ドウアンがカギだ

――たしかにメキシコ戦は、積極的に主導権を取りに行きました。

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