原油価格はどうなる?(写真:Golden Dayz/Shutterstock.com)

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り1バレル=62ドルから65ドルの間で推移している。「ロシアからの原油供給に支障が生じる」との観測などから、価格の上限は先週に比べて約1ドル上昇している。

 まず原油市場の需給を巡る動きを確認しておきたい。

 ウクライナ軍はロシア軍の燃料供給を断つ目的で、ロシアの石油関連施設への攻撃を激化させている。9月13日夜から14日にかけて、ロシアに対し360機以上のドローン(無人機)攻撃を実施し、ロシア西部の製油所で火災が発生した。

 被害を受けたのはロシアの2大製油所の1つであるスルグネフテガス社のキリシネフテオルグシンデスだ。この製油所はロシア全体の6%超(日量35万5000バレル)の原油を精製している。

 ウクライナ軍はさらにロシアの主要な輸出港であるプリモルスクやウチスルガ、ボルガ地方のサラトフ製油所などを攻撃した。

 ロイターは16日「ウクライナのドローン攻撃による重要な輸出港・製油所への攻撃を受け、ロシア国有パイプライン輸送企業トランスネフチは、『ロシアの石油企業は減産に迫られる可能性がある』と警告を発した」と報じた(トランスネフチはこの報道を否定)。

 だが、ロシアからの原油輸出の落ち込みは限定的のようだ。17日、ロシアの原油輸出量が安定的に推移しているという見方が市場に伝わると、原油価格は下げに転じた。

 原油輸出は堅調だが、ロシアの石油販売収入はこのところ不振だ。

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