【9月20日 東方新報】中国の電動バイクメーカーが海外展開を加速させている。雅迪科技集団(Yadea Technology Group)の王家中(Wang Jiazhong)上級副総裁は16日、中国新聞社(CNS)の取材に対し「今年1月から7月にかけて、当社の海外輸出事業は前年同期比で40〜50%増加した。現在、世界各地で生産拠点と中継倉庫の整備を急いでいる」と明らかにした。

「中国電動バイクの都」と呼ばれる江蘇省(Jiangsu)無錫市(Wuxi)の錫山区では、電動バイク産業集積地の規模が全国市場のおよそ3分の1を占める。2025年上半期、同区の二輪電動バイク輸出額は3億5000万ドル(約512億8900万円)に達し、前年同期比31.9%増を記録。その中でもインド向け輸出が顕著で、9433万ドル(約138億2311万円)と前年同期比102.2%の増加となった。

こうした動きは無錫に限らない。広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)貴港市(Guigang)港北区では、年間生産能力が二輪電動バイク500万台、三輪電動バイク50万台に達し、製品は東南アジアで好調に売れている。浙江省台州市の企業は、整備された部品サプライチェーンを背景に、欧州市場での展開を加速させている。

差別化された商品戦略が、中国電動バイクの海外進出を支える大きな武器になっている。王家中氏は「雅迪は市場ごとにローカル開発を進めている。ヨーロッパ市場では利用者の体格に合わせて座り心地や人間工学を調整し、道路事情が悪い地域向けには車輪を大きくして動力を強化する。各国の嗜好に合わせ、外観やカラーも専用にデザインしている」と説明する。

例えばインドネシア市場では、フードデリバリー業界が電動バイクに求める航続距離は150キロと、国内基準を大きく上回る。「そこで路面状況と走行距離の両面で徹底した開発を行い、悪路走破性を高めると同時に、配達員の日常走行を満たせるようにした」と王氏は語る。

淮海控股集団(Huaihai Holding Group)の傘下企業が生産する三輪電動車「三蹦子」も、優れた積載力と路面適応性を武器に新興市場を開拓し、ペルーやパキスタンなどに輸出されている。

中国の電動バイクメーカーは近年、海外での現地化を急速に進めている。業界大手の雅迪はすでに世界各地に10の研究・生産拠点を構築し、研究開発から製造、供給、販売、サービスまで一貫体制を整えている。2025年3月には、錫山区で第1陣となる6つの電動バイク国際公共倉庫が稼働開始。これまでに7社が9カ国に計14の海外倉庫を設置した。

王家中氏は「今後2〜3年が海外展開のカギになる。重点は基盤づくりであり、サプライチェーンの現地化、製品の適応力、消費者満足度を高めることが重要だ」と強調する。

中国税関の統計によれば、2024年の電動バイクと電動自転車の輸出額は初めて400億元(約8231億800万円)を突破した。業界専門家は「海外倉庫ネットワークの拡充や現地生産の加速により、中国の電動バイクメーカーは単なる貿易輸出から、産業チェーン全体とブランドを含めた総合的な展開へと進化している」と指摘している。(c)東方新報/AFPBB News

 

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