中国人の日本移住が増えている(写真:AP/アフロ)
日本で起業する外国人向けの在留資格「経営管理ビザ」の発給要件が、この10月から厳格化される方向になりました。諸外国に比べて緩いとされる要件を厳しくし、この制度に便乗する中国人の大量流入を抑える狙いがあります。条件の変更は中国人の流入抑制に効果を発揮するのでしょうか。そもそも「経営管理ビザ」とは、どんな仕組みなのでしょうか。やさしく解説します。
(フロントラインプレス)
在留中国人、和歌山県の全人口に匹敵
日本に住む外国人が増え続けています。出入国在留管理庁の統計によると、在留外国人の総数は2024年末現在、376万8000人となり、過去最高を記録しました。とくに多いのが中国人です。在留中国人はコロナ禍で一時減少しましたが、2024年末は前年比6.3%増の87万3000人となり、こちらも過去最高を記録しました。この数は和歌山県の全人口(87万9000人)とほぼ同じ。日本に住む外国人の4人に1人は中国人となった計算です。
こうした数字だけでも、いかに中国人が日本社会に浸透してきたかが分かります。経営管理ビザの問題点は、そんな中で大きくクローズアップされてきました。
経営管理ビザとは、日本で起業するための外国人に発給される在留資格(就労ビザ)の一種です。外国から高度人材の受け入れを図ろうとした安倍晋三政権が推し進めた施策で、2015年の改正入管難民法施行により、それまでの「投資経営ビザ」に代わって誕生しました。
経営管理ビザを申請できるのは、日本で会社の経営者(代表取締役、取締役、監査役など)や管理者(支社・支店長、部長、工場長など)になる外国人です。既存の企業でそれらのポジションに就く場合だけでなく、申請者が新たに事業を起こす場合も申請できます。
起業の場合は、日本での事業所開設に加え、「500万円以上の資本金を準備」、または「常勤職員2人以上の雇用」があれば、最長5年のビザを取得できます。会社設立前であっても「準備期間」として4カ月のビザを出す仕組みもあります。また、経営管理ビザは何度でも更新できるのが特徴です。
海外にも起業・投資を対象とした類似の制度がありますが、最初に必要な資金は韓国で3億ウォン(約3200万円)以上、米国で10万~20万米ドル(約1500万~約3000万円)以上などとなっており、日本の安さが際立つ状態でした。
このため、日本でビジネスを行うつもりがない中国人がこの制度を利用し、大挙して日本に来ていると指摘されるようになり、国会でも大問題となったのです。
WACOCA: People, Life, Style.