公開日時 2025年09月20日 05:00
沖縄で、自衛隊への「行き過ぎた抗議活動」が続いていると見解を述べる中谷元・防衛相=19日、防衛省
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琉球新報朝刊
【東京】中谷元・防衛相は19日の閣議後会見の冒頭で、自ら「沖縄において自衛隊の活動に対する過度な抗議活動、妨害行為が続いている」と切り出し、「訓練内容の変更を余儀なくされたことは大変遺憾」「(抗議は)良識をもってやってもらいたい」などと主張した。抗議活動を問題視する法的根拠は示さず「良識と度量をもってやっていただきたい」「行き過ぎ」などと繰り返した。非暴力の抗議活動を封じようとする圧力につながり、大臣としての資質が問われる。
会見では中谷氏の見解に対する質疑が相次いだ。防衛省トップが「行き過ぎた抗議活動」と断じれば、市民らの活動の萎縮につながる可能性があること、また憲法で保障された「表現の自由」を否定するものであるとの指摘に対しては、「確かに自由はあるが、良識をもってやっていただきたい」と答えた。
中谷氏は、宮古島での日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン」の一部が抗議活動によって行われなかったことや、宮古島駐屯地司令が市民団体から拡声器を用いた抗議活動を受けたこと、「沖縄全島エイサーまつり」で陸上自衛隊のエイサー隊に対し参加の自粛要請があったことを列挙した。「地元との交流を深める努力」を重ねてきたとした上で「大変残念」と述べた。
「南西シフト」によって沖縄の過重な基地負担がさらに増していることなどが抗議活動の背景にあるのではとの質問に対しては明確に答えなかった。「戦後最も厳しく、複雑な安全保障環境に直面している中で、自衛隊・防衛省が果たすべき役割は重要なものになっている」などと説明するにとどめた。
自身の発言は自衛隊の活動に理解を得るため「私自身が先頭に立って発言をし、信頼を増すことが必要」と主張した。(嘉数陽)
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