総括

FX「ペソ、株とも好調、問題は低成長。USMCA見直し開始」メキシコペソ見通し

予想レンジ 7.8-8.3

(通貨3位、株価4位)

 (ポイント)
*ペソ、株とも好調だが、問題は低成長
*政策金利決定は9月25日、0.25%利下げ予想
*輸出の増加にもかかわらず、7月の製造業の生産は減少
*メキシコ中銀が金利、為替見通しを調査した
*USMCA見直しに関わるパブリック・コメント募集開始
*メキシコ国とペメックスの格付けの高評価。去年と様変わり
*中国製品に最大50%の関税賦課を検討
*FDIは米関税賦課の不確実性の中でも増加
*調査機関が25年成長見通し上方修正 0%から0.5%
*フィッチ、メキシコ経済の縮小を「軽度」の景気後退に修正=昨年はフィッチの悲観的見通しで経済は後退した
*米との論点=関税、麻薬、移民、LA騒乱、送金課税、USMCA、司法、水、等々

(ペソ、株とも好調だが、問題は低成長)
 メキシコペソは昨日対円でボリバン3σ上限の8.098まで上昇した後、行き過ぎ感もあって8.05まで反落した。月間では南アランドに抜かれ2位。年間では3位。
為替・株・金利ともに米国より高い。米国の不確実性で米国からの資金逃避がある。問題はメキシコの低成長率だ(25年予想は0%から0.5%)。

ボルサ株価指数は昨日は0.44%安で年初来23.85%高。10年国債利回りは米金利上昇に連れて8.62%へ。ここまでの上昇を支えたのは、S&Pの格付けの維持と財政改善の評価、またムーディーズがペメックスの格付けを2段階引き上げたことなどがある。 ただ後述するように関税問題の影響で景気減速感はある。

(政策金利決定は9月25日)
 次回の政策金利決定は9月25日。7.75%から0.25%引き下げて7.5%とする見込み。中期的にインフレが低下していることと、低成長、トランプ関税の不確実性などによるものだ。

(輸出の増加にもかかわらず、7月の製造業の生産は減少)
 7月の製造業生産量は前年比で2.7%減少。この減速は2ヶ月連続の増加の後に起こり、メキシコの製造業輸出額の増加とは対照的である。
内外からの圧力が減速に寄与している。経済の不確実性、生産投資の低水準、そして国内外の需要の減少などだ。INEGIによると、製造業の雇用者数は0.2%減少し、6ヶ月連続の減少となった。特に自営業者は大きな影響を受け、7月は2.1%の減少。昨年から16%減少。
 製造業の生産減速は、 INEGIの7月の輸出データとは対照的である。7月の輸出額は前年同月比4%増の567億米ドルに達した。
 不確実性の中での歪みか、フォローしていきたい。

(メキシコ・カナダ首脳会談)
 シェインバウム大統領は、カーニー・カナダ首相との会談を前に、短期労働ビザとカナダとメキシコ間の海上貿易ルートの拡大が最重要課題であると述べた。
両首脳は戦略的提携協定に署名するとみられており、カナダ政府当局者らによると、この協定はインフラ、貿易、保健、農業、緊急事態への備え、安全保障などを対象とするものだという。

(メキシコ中銀調査)
 メキシコ中銀の、民間アナリストへの調査は以下の通り

・2026年末までに基準金利が前回調査から変わらず6.75%にとどまる
・2025年末までにペソが1ドルあたり19.50ペソに達すると予想しており、前回の調査では1ドルあたり19.80ペソだった。

テクニカル分析

昨年8月以来の高値更新、3σ上限からは反落

 日足、再びボリバン3σ上限へ上昇、8.098をつける。雲の上限から反発。ただ3σ上限からは反落、2σ上限へ。9月17日-18日の上昇ラインがサポート。24年7月30日-9月18日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
 週足、ボリバン上位での横ばいから上昇。9月1日週-8日週の上昇ラインがサポート。24年7月8日週-25年9月8日週の下降ラインを上抜く。5週線、20週線上向き。
 月足、8月は4か月ぶり陰線も9月はここまで陽線。ボリバン中位越え。5月-6月の上昇ラインがサポート。24年5月-25年8月の下降ラインが上値抵抗だったが上抜く。5か月線上向き、20か月線下向き。
 年足、2024年は4年振り対円で年足が陰線。今年は5月以降円と大接戦となったが現在はペソが円を上回る。23年-24年の上昇ラインを一時下抜くが上抜き返す。21年-22年の上昇ラインがサポート。

VAMOS MEXICO

USMCA見直しに向けたパブコメ制度導入

 経済省は、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の運用に関して意見を述べる機会の提供に関する通知」を連邦官報で公示した。協定の発効から6年後(2026年)に協定参加国で「共同見直し」を行うことを定めており、メキシコ政府は、USMCA見直しを行うためパブリックコメントの募集を開始した。米国もUSTRを通じ意見の提出を求める。

USMCAがメキシコの製造業に与える影響
協定により発生した課題や機会
物品・サービスの貿易に関する具体的な課題
原産地規則や通関手続きに関する事項
労働・環境・中小企業・知的財産・デジタル貿易・投資に関する事項
その他、USMCAの見直しでメキシコの優位性に資する提言(JETRO)

情報提供元:FX湘南投資グループ
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