公開日時 2025年09月19日 05:00
越来グスクの歴史価値を学ぶ越来公民講座のフィールドワーク=8月24日、沖縄市城前の越来グスク跡
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琉球新報朝刊
【沖縄】沖縄市の越来自治会(船越利幸会長)主催の越来グスク跡探索公民館講座が8月24日、開かれた。越来グスク整備基本計画に期待が高まる中、「グスク博物館」に特化した施設の提言があった。
講座は整備後の活用方法について住民の意見を集約し、改めてグスクの歴史的価値を学ぶのが目的。約30人が参加した。
講師は元県立博物館館長や沖縄考古学会会長を歴任したグスク研究所主宰の當眞嗣一さん(80)。前半は越来グスク跡のフィールドワークで、2019年に創世神話・聖地として国の名勝「アマミクヌムイ」に追加指定された場所や拝所などを探索。その後、公民館ホールで講話が行われた。
當眞さんは、同グスクは文献で570年前に登場し、首里王府直轄の重要拠点であったこと、市立郷土博物館の発掘調査で鍛冶跡、中国磁器などの多彩な遺物が出土していることを紹介した。
その中で(1)歴史遺産は長い歴史で育まれ、守り育てられた貴重な財産(2)地域独自の価値を再発見する(3)まちおこし、まちづくりの積極的活用―の3点を強調した。
県内にはグスクと呼ばれる場所が400カ所前後も点在しているといわれる。その上で「グスク資料、調査に特化した施設等の検討はどうか」と提言した。
同グスク跡に関しては石垣や土塁など全体像を確認する資料がほとんどない。現在地点より20~30メートルは高かったとの証言がある。しかし土石類は終戦直後、米軍がコザ十字路建設資材用などに切り崩した経緯がある。
昨年結成された「越来グスク整備に不可欠な立面写真を国内外に提供を呼び掛けよう協議会」(平良須賀子会長)の取り組みに対しては「あらゆるネットワークを駆使すれば資料が発見される可能性はある」と期待を寄せていた。(岸本健通信員)
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