坂井担い手ネットワークの農家らが、マスコミ各社の前で行った記者発表会=9月16日、福井県坂井市役所

埼玉県に本社を置くベルク 1都6県150店で19日発売

 ベルクと直接契約し、出荷されたコメは、坂井市担い手ネットワークの17生産者(個人農家や株式会社など)が同市内で生産した早稲品種「つきあかり」の玄米414トン。同ネットワークはもともと、農地保全や農業振興などを目的に2021年設立し、稲作を中心に25生産者(経営体)で組織している。埼玉県鶴ヶ島市に本社を置く食品スーパーマーケットのベルクが、一定量のコメが確保でき直接取引できるコメ農家を全国で探していたところ、昨年9月にネットワークとつながりができ、以来、半年以上かけて契約内容などを詰めてきた。

 同ネットワークの田中勇樹・代表理事(田中農園代表取締役)と、宮嵜恵介・業務執行理事(みやざき農園代表取締役)、それに株式会社ベルクの原島陽一郎専務が9月16日、坂井市役所で報道機関向け記者会見。「つきあかり」は暑さに強い早稲品種で、「コシヒカリと同等か、それ以上の食味がある。ネットワークでも一定量出荷量が確保できる」(同ネットワーク)との理由で選んだという。市内の水田約75ヘクタールで栽培し、8月下旬から9月上旬にかけて収穫した。

「5キロ袋4,390円 きっと売れます」とベルク社

 一方、ベルク側も、最近、精米が自社でできる米穀会社をグループ傘下に置いた関係で、コメ生産者と直接取引するのは初めてという。1袋5キロ税抜き4,390円で19日から全150店舗で一斉販売する。取り扱い量はベルク全体の約10%に当たるという。原島専務は「坂井担い手ネットワークさんと昨年から協議を続けさせていただいて、坂井市が良いコメどころだと理解できたし、パイプラインによる豊富な水で美味しいコメが育つことも分かった」と語り、つきあかりも実際に食味してみて、全量売り切る自信はあると言う。さらに「来年、再来年と坂井の生産者さんといい関係を築き、取り扱い量も増やしたい」と話した。

 インパクトにある商品名「崖っぷち米」は、担い手ネットワークとベルク社の協議する中で、浮上したアイデアで、断崖絶壁の景勝地と知られる「東尋坊」の写真を背景に、筆文字で大きく「崖っぷち米」とデザインした。購入したお客には、福井県坂井市がどんな市か、市の観光にもつながるように袋裏面には、丸岡城や三国祭の写真なども掲載し〝坂井市押し〟の仕様となっている。原島専務は「将来的には、コメだけではなく、市内で栽培する野菜や園芸品のほか、水産品まで扱うことも考えていきたい」と語った。「崖っぷち米」のコメ袋は、11月以降は「坂井米」に順次切り替えていく。

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