スイス時計協会が18日発表した8月の時計輸出額は、前年同月比で約17%減と急落した。中国での需要の弱さが続いている上、米国による高関税が発効したためだ。
発表によると、スイスの時計輸出は、全主要市場で2桁の減少となり、中国は36%減、時計産業最大の市場である米国は24%減だった。関税発動を前に、4月と7月に輸出が急増した反動もある程度影響しているという。
リシュモンやスウォッチ・グループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンなどが支配するスイス拠点の時計メーカーや、オーデマ・ピゲ、パテック・フィリップ、ロレックスといった独立系メーカーにとって、より厳しい状況が鮮明になった。18日、スウォッチ株は2.5%、リシュモン株は1%、それぞれ一時下落した。
フォントベルのアナリスト、ジャンフィリップ・ベルチー氏はリポートで「複数の時計ブランドからの最近の報告では、米国では一部で需要が堅調に推移し、中国では暫定的な安定化が見られるとの指摘があった。だが今日のデータは、そうした兆候をほぼ否定するものだ」と述べた。
米国がスイス産品に課した39%の関税は8月7日に発効し、欧州連合(EU)や他の先進国より高水準で、時計産業に衝撃を与えている。多くのメーカーは関税回避のため、米国での在庫増強を急いでいた。
スウォッチは先週、スイス政府に米国との合意を促すため、139スイスフラン(約2万6000円)の「特別関税モデル」を発表し、スイス国内限定で販売した。文字盤の逆さまになった3と9の数字が、39%の関税を暗示している。広報によると、新たな合意が成立次第、このモデルは店頭から撤去される。
米国のラトニック国商務長官は12日、米国は最終的にスイスと貿易協定を結ぶと述べ、これまでより前向きな態度を示した。最新の協議については「建設的」としている。
原題:Swiss Watch Exports Plunge on Weak China Demand, US Tariffs (1)(抜粋)
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