ことしの「地価調査」の結果が公表され、県内全体では下落が続いた一方、松前町の地価の平均が県内の市や町として18年ぶりに上昇に転じるなど、松山市内の郊外や周辺自治体で需要が高まっています。
背景には、松山市中心部で地価が上昇する中で建築コストの高騰の影響も重なり土地の購入費を抑えようという動きがあるとみられます。

「地価調査」は土地取引の目安にするため、各都道府県が毎年7月1日時点での土地の価格を調べたもので、県内では410地点が対象となりました。

それによりますと、住宅地や商業地などを合わせた県全体の地価の平均は、1平方メートルあたり4万7600円と、去年を0.9%下回って33年連続で下落しました。

一方、下落幅は0.2ポイント縮小したほか、地価が上昇した地点は14増えて53となりました。

県内の1平方メートルあたりの最高価格は商業地は「松山市大街道2丁目」の86万1000円、住宅地は「松山市持田町4丁目」の24万2000円でした。

また、住宅地で上昇率が最も高かったのは「松山市南江戸3丁目」でプラス1.8%でした。

松山市全体の平均は去年まで下落が続いていましたが18年ぶりに横ばいとなり、JR松山駅周辺の再開発への期待感が続いているほか、郊外部の住宅地の需要や県内外の投資家による不動産投資への意欲の高まりなどもあるということです。

このほか、松前町では「松前町筒井中須賀」でプラス1.3%、「松前町筒井北内開」でプラス1%と高い上昇率になりました。

松前町は全体の平均でプラス0.4%と、県内の市や町として18年ぶりに上昇に転じました。

松山市中心部の地価が上昇する中で資材価格や人件費の高騰も重なって、比較的、土地の購入費が抑えられる市内の郊外部や周辺自治体に住宅を建てる動きが出ていて、ほかにも伊予市や東温市などで交通などの利便性が高い地域の需要が高まっているということです。

【調査にあたった不動産鑑定士】
調査にあたった不動産鑑定士の大河功一さんは、県全体の地価の動向について、「経済情勢の緩やかな回復傾向もあり一部地域で不動産市場の活性化が緩やかに進みつつあるほか、大都市圏で不動産価格が上昇する中で投資として利回りが低くなり不動産を買いたくても買えない状況が続いていて松山市などの地方都市に投資マインドが向いている状況があると思う。人口減少の影響もあるが各市・町で人気がある競争力の高い地区では地価も下げ止まりの傾向が見えてきている」と指摘しています。

その上で、松前町の平均の地価が上昇に転じたことについて、「松前町は松山市にも通勤でき、大型商業施設を核として住宅地需要は底堅いし県内では最も面積の小さい自治体で住宅の供給数が限られるという事情がある。また、建築費がこれだけ高騰すると土地の方はできるだけ抑えようと郊外の方に目が向いている」と分析しています。

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