EUがインドと防衛・ハイテクなどで協力強化計画

 9月17日、 欧州連合(EU)欧州委員会はインドとの間で防衛、ハイテク、貿易といった分野で協力強化を進める計画文書を公表した。写真は同日、ブリュッセルで記者会見するカラス外交安全保障上級代表(左)ら(2025年 ロイター/Yves Herman)

[ブリュッセル 17日 ロイター] – 欧州連合(EU)欧州委員会は17日、インドとの間で防衛、ハイテク、貿易といった分野で協力強化を進める計画文書を公表した。

EUとインドは自由貿易協定締結に向けた最終協議に入っており、年内合意を目指す方針。交渉は2022年に改めて開始され、トランプ米大統領の復帰により加速している。双方とも米関税措置への対応で新たな連携先の模索を急いでいるためだ。

ただインドはEUとの将来的な関係に期待を持ちつつも、ロシアや中国にも目を向けている。ロシアのウクライナ侵攻後、インドはロシア産原油購入を増やし、最近では上海協力機構(SCO)首脳会議が開かれた中国で、モディ首相とプーチン大統領が親密な関係を示す場面も見られた。

一方で米国は主要7カ国(G7)とEU諸国に対して、ロシア産原油を購入するインドと中国に追加関税を課すよう要求している。

こうした中でEUのカラス外交安全保障上級代表は、EUとインドには協力深化の足かせとなっている「意見が対立する明確な分野」が存在すると認めたが、EUとしてはインドを「ロシア陣営」に追いやりたくないと強調した。

カラス氏は「問題はこの溝を他者が埋めるか、われわれが埋めようと努力するかだ」と訴えた。

今回の計画文書にも、欧州委はインドをルールに基づく多国間秩序の担い手の1員とみなし、2030年に世界第3位の経済大国になる見通しのインドの高成長がもたらす効果を享受したいと記された。

またEUがロシアの軍事力を抑制し、制裁回避を防止するためにもインドとの関係を一段と深める方針も示された。

今後はインドとの間で投資保護や航空輸送増強、サプライチェーン確保、グリーン水素開発、重工業の脱炭素化、研究開発・イノベーションなどに関する合意に向けて協議するという。

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