ことしの地価調査の結果が公表され、石川県では商業地・住宅地ともに上昇しました。
金沢市中心部では地価の大きな上昇がみられた一方、奥能登地域では能登半島地震などの影響で下落傾向が顕著になっていて、二極化が続いています。
石川県は、県内291地点の7月1日現在の土地の価格を調べた「地価調査」を公表しました。
それによりますと、石川県では去年に比べて商業地が1.9%、住宅地が0.6%上昇しました。
商業地で上昇率が最も大きかったのは▼金沢市木倉町でプラス14.5%、▼金沢市片町2丁目でプラス13.3%、▼金沢市東山1丁目でプラス12.5%と、上位10地点のうち9地点を金沢市中心部が占めました。
また、商業地で価格が最も高かったのは、金沢駅東口に近い金沢市本町2丁目で、1平方メートルあたり118万円と、13年連続で北陸地方で最も高くなりました。
また、住宅地で上昇率が大きかったのは▼白山市富光寺町でプラス7.8%、▼金沢市長町1丁目でプラス7.4%、▼白山市千代野東4丁目でプラス6.5%と、上位10地点すべてを加賀地方が占めました。
住宅地で価格が最も高かったのは金沢市本町2丁目で、1平方メートルあたり24万3000円と、商業地と同じく北陸地方で最も高くなりました。
一方、商業地で下落率が大きかったのは▼珠洲市飯田町でマイナス4.7%、▼輪島市門前町清水と穴水町字鵜島でマイナス3.7%と、下落率が大きかった10地点のうち6地点を、能登半島地震などで被災した奥能登地域が占めました。
また、住宅地でも輪島市河井町六部でマイナス5.8%と、下落率が全国で3番目に大きくなるなど、下落率が大きかった10地点のうち6地点を奥能登地域が占めました。
【不動産鑑定士「加賀地方と能登地方で二極化進む」】
調査した不動産鑑定士の西郷悟さんは、今回の地価調査の結果について、加賀地方と能登地方で二極化が進んでいると分析しています。
このうち加賀地方の商業地については、「インバウンド需要の高まりや北陸新幹線の延伸効果を背景に、金沢市を中心に上昇傾向が続いている。金沢市ではインバウンドをターゲットにしたホテルの開発が盛んで店舗の収益性も高くなり、地価の上昇につながっている。金沢市の中心市街地では今後、再開発の動きが出てくることも予想され、地価の上昇を後押しした」と述べました。
また、加賀地方の住宅地については、「生活の利便性に優れた地域で需要は堅調に推移している。特に白山市では、西松任駅の開業や商業施設の進出などで利便性が増し、地価の上昇につながった」と述べました。
一方、能登地方については、商業地と住宅地のいずれも地価の下落が続いていて、西郷さんは「能登半島地震からの復旧・復興は進み、去年に比べると地価の回復が見られるものの、人口減少や過疎化、高齢化などの影響が続いている」と分析しています。
そのうえで、今後の見通しについて、「加賀地方ではインバウンド需要や、県外からの大型投資に注視している。能登地方では、市や町が復興の見通しを示していくことで、地価の回復につながる可能性があり、その動向に注目している」と話していました。
【金沢市中心部 インバウンド需要でホテル開発計画進む】
石川県内では、地価の上昇傾向が続く金沢市を中心に、外国人観光客の増加が続いていて、こうしたインバウンド需要を取り込もうというホテル開発の計画が進められています。
観光庁の「宿泊旅行統計調査」によりますと、去年1年間に県内のホテルや旅館などに宿泊した外国人は、延べ219万9000人余りとこれまでで最も多くなりました。
ことし1月から6月までの上半期も、速報値で、延べ110万人余りに上り、去年の同じ時期と比べて15%増えて好調が続いています。
こうした需要を取り込もうと、金沢市中心部では、外国人客をターゲットにしたホテルの開発が進められていて、このうち、金沢市片町1丁目では、東京の会社が再来年5月の開業を目指してホテルを建設しています。
県国際観光課は増加の要因について、「新幹線を活用した首都圏と関西を結ぶ新たな観光ルートが外国人観光客にも定着してきている。中国からの客の回復に加え、金沢市などの伝統的な町並みが欧米客を中心に人気を集めている」と分析しています。
WACOCA: People, Life, Style.