瞬間最大風速と最大瞬間風速。どちらも違和感は覚えないが、正しくは最大瞬間風速。間違いやすいので気をつけたい。佐賀県の観測史上最大の瞬間風速は1991年9月14日に観測された秒速54・3メートル。台風17号によるもので、幾多の風水害の中でも強く記憶に残る◆この記録をはるかに上回る風速が今月初旬、静岡県牧之原市で観測された。台風15号の影響で竜巻が発生。現場検証の結果、風速は秒速81メートル以上だった可能性があるという◆「五風十雨」という言葉がある。5日ごとに風が吹き、10日ごとに雨が降るという、穏やかで順調な天気を意味する。ただ、9月とは思えない暑さが続き、死語になりつつある気がする◆きょうは1945年、枕崎台風が西日本を縦断した日。終戦からわずか1カ月後のことで原爆が投下された長崎、広島の被害が特に大きかった。きょうで80年。二重の悲劇を乗り越え、生きることを諦めなかった先人たちに感謝したい◆風はきっと大地の呼吸。その息遣いに耳を澄ませば向かい風ばかりではないことに気づく。映画「風とともに去りぬ」に出てくる「Tomorrow is another day.」という言葉は「あすという別の日がある」の翻訳が一般的だが、「あしたはあしたの風が吹く」とも訳される。困難に直面しても何とかなる。信じよう。あしたはきっと追い風だ。(義)
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