「ガザは燃えている」、イスラエル軍が地上攻撃開始 なお65万人が市内に

 9月16日、イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザの最大都市ガザ市占領に向け地上攻撃を開始し、「ガザは燃えている」と宣言した。写真は15日、イスラエルの攻撃で倒壊するガザ市の建物(2025年 ロイター/Dawoud Abu Alkas)

[エルサレム/カイロ/ブリュッセル 16日 ロイター] – イスラエル軍は16日、パレスチナ自治区ガザの最大都市ガザ市占領に向け地上侵攻を開始した。イスラエルは欧州首脳のほか、自国軍の一部司令官からの警告を押し切って地上侵攻を開始。トランプ米大統領はイスラム組織ハマスが人質を人間の盾として利用すれば「相応の報い」を受けると述べ、イスラエル寄りの姿勢を示した。

イスラエル軍幹部によると、地上部隊がガザ市中心部に向けて進軍。市内に残っているとみられる3000人のハマス戦闘員に対抗するため、数日中に兵士を増員するという。カッツ国防相は「ガザは燃えている」とXに投稿。「イスラエル国防軍(IDF)はテロリストのインフラを鉄拳で攻撃する。IDFの兵士は人質の解放とハマスの敗北の条件を整えるために勇敢に戦っている」とした。

ガザ市内に戦車が入る中、空爆も加えられ、ガザ市のパレスチナ住民は過去2年に及ぶ戦闘の中で最も激しい砲撃に見舞われていると証言。南へ避難していた避難民を乗せた車両がイスラエル軍の攻撃を受けたという。ガザ保健当局は、少なくとも75人の死亡を確認した。ほとんどがガザ市での死者とみられる。

イスラエル軍はこの攻撃について直ちにコメントしなかった。

こうした中、トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し、ハマスがイスラエルの作戦中に人質を人間の盾として利用すれば「相応の報いを受ける」と警告。イスラエルを支持する立場を示した。

一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、2週間後にホワイトハウスに招待されたことを明らかにした。

国連のグテレス事務総長は、ガザの事態は悲惨で、道義的にも政治的にも法的にも容認できないと非難。欧州連合(EU)の外相に当たるカラス外交安全保障上級代表も、イスラエルによるガザ市への地上侵攻ですでに絶望的な状況が一段と悪化すると懸念を示し、EUの執行機関である欧州委員会は16日にイスラエルに方針変更を迫るための措置を提示すると明らかにした。

イスラエル軍は住民に避難を呼びかける一方で、ガザ市全体を空爆し、複数の地区で戦車を展開。南西部テル・アル・ハワ地区は空、地上、海からの攻撃を受けているという。現地からの情報によると、イスラエル軍は爆発物を積んだロボットを使用し、強力な爆発により破片や榴散弾が着弾地点から数百メートル飛ばされているという。

イスラエル軍はガザ市の住民の40%が避難したと推計。ハマスはガザ市東部の住民35万人が市中心部か西部の避難所に移動したほか、17万5000人がガザ市を出てガザ地区南部に移動したとしている。

この日は国連の調査委員会がイスラエルがガザ地区でジェノサイド(民族大量虐殺)を行ったと認定。ネタニヤフ首相を含むイスラエルの最高指導部がジェノサイドを扇動したと結論づけた。これに対しイスラエルは反発している。

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