掲載日
2025年9月16日
中古衣料の急速な人気拡大が、英国のミシン工の人材層の規模を大きく上回るペースで進んでおり、「消費者や小売業、さらにはサステナビリティにとって大きな頭痛の種となりかねないスキル不足を招く恐れがある」との懸念が高まっている、と新たな報告書は指摘しています。同時に、このセカンドハンドのブームは、衣類の修繕ができる人材への需要が一段と高まっていることも意味します。
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英国政府の最新データによると、2018年の導入以来、レベル2のミシン工見習い制度を始めたのはわずか130人にとどまっています。報告書は、こうした低水準が、今後10年間で欧州全体の中古品市場が規模で3倍の860億ポンドに拡大すると見込まれる巨大な成長ぶりと著しく対照的だとしています。
UKFT(英国ファッション・テキスタイル協会)の技能・訓練担当ディレクター、ジョン・ウェスト氏は、イングランドでは初年度に450人、その後は毎年400人がレベル2のミシン工見習い制度を開始するとの見通しだったと述べ、「実際の数はこれを大きく下回っており、深刻な問題だ」と強調しました。
「ファッション・テキスタイル製造セクターは、繊維関連製品を作る熟練オペレーターに大きく依存しており、現在、ミシン工といった職種の人員確保に大きな支障が生じています」。
また同氏は「英国のメーカーは、サプライチェーンをより短く、より持続可能なものにするため、衣料・繊維生産を海外から国内へ呼び戻そうとしています。同時に、リペアや再生が施された中古衣料の市場も急成長しています」と述べました。
つまり、中古のファッションやアクセサリーに対する消費者の旺盛な需要により、製造現場以外でもミシン工の需要が高まっているということです。
小売物流会社アドバンスト・サプライ・チェーン(ASC)のアンドリュー・ヒル取締役は、次のように述べています。「ファッション業界と小売サプライチェーンは、衣類を修復できる人材を切実に必要としています。
「『プレラブド(中古)』の衣類は完璧である必要はありませんが、再販可能な商品にするために修理や修復作業が求められることが少なくありません。破れや縫い目の縫い直し、ファスナーの付け替え、パッチ当てが必要になる場合もあります。こうした作業には訓練を受けたミシン工が不可欠ですが、その数がまったく足りていません。
「プレラブドに限らず、買い物客から返品された商品の修復にもミシン工は欠かせず、廃棄を避けて再販につなげるうえでも重要です」。
ヒル氏はこう締めくくりました。「縫製スキルの不足は差し迫った問題です。eBayやVintedに対抗し、プレラブド購入の“お買い得感”やサステナビリティを好む買い物客を惹きつけたいと考える小売業者はますます増えています。ミシン工の需要はさらに高まり、すでに大きいスキルギャップを一層広げるリスクがあります。
「The Great British Sewing Bee の人気は、縫製スキルに前向きなスポットライトを当てる歓迎すべき好機です。熟練したミシン工は、持続可能で循環型のサプライチェーンを構築するうえで不可欠です。」
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