パプアニューギニア・ポートモレスビー(2025年9月16日)— 神田眞人アジア開発銀行(ADB)総裁は、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相と会談し、太平洋地域の開発における同国のリーダーシップを評価するとともに、質の高いインフラ整備、民間セクターの成長など共通の優先分野について意見交換を行った。
神田総裁は、「ADBとオーストラリアは、地域社会をつなぎ、強靭性を構築し、持続的な経済的機会を太平洋地域諸国にもたらす質の高いインフラ整備に向けたコミットメントを共有している」とした上で、「我々は、貧しく最も脆弱な人々の生活を変革する成長に向け、地域全体での民間セクター開発の支援に引き続き共に取り組むことを楽しみにしている」と述べた。
神田総裁は、ADBがオーストラリアやその他の開発パートナーと共に実施している、太平洋地域における35億ドル規模の進行中のプロジェクトを強調した。また、神田総裁は、共通の太平洋地域における優先分野について重要な開発成果を実現することを可能にする、アジア開発基金(ADF)第13次財源補充(ADF14)への過去最大規模となる3億2,800万ドルの資金貢献を含む、オーストラリアのADFにおけるリーダーシップに言及し、同国はADBの戦略的パートナーであるとした。
さらに両者は、特に太平洋地域の加盟国に向け、より良い成果をもたらすことを目的とする、質の高い調達に向けたADBのコミットメントについて意見交換を行った。神田総裁は、面会に先立って行われたメリットポイント基準(Merit Point Criteria)の使用義務化についての発表を改めて強調した。メリットポイント基準を用いることで、ADBが支援するプロジェクトに関わる契約の入札は、単に価格だけでなく技術的な優位性や実施能力に基づき評価されることとなり、これは「太平洋の質の高いインフラ原則」と完全に整合するものである。2020年以降、太平洋地域の13か国における大規模契約の80%で質重視の入札評価方式が採用され、地元労働者や地元企業の参画拡大など、具体的な成果を伴っている。この調達改革により、ADBは一層の競争を奨励し、太平洋地域でADBが資金提供するプロジェクトに、質を重視する請負業者やコンサルタントの参画を可能とする。
ADBとオーストラリアは、起業家精神の育成、インクルーシブな成長、太平洋地域に適したビジネスモデルの推進を目指す旗艦プログラムである民間セクター開発イニシアティブ(Private Sector Development Initiative: PSDI)の技術支援を通じ、太平洋地域におけるビジネス環境の改善に向けた長期的なパートナーシップを構築している。ADBやオーストラリア、太平洋地域におけるその他のパートナーが資金提供する進行中の政策支援は、改革成果の定着を促している。民間セクターの成長を促進すべく、オーストラリアは、PSDIの現フェーズ4(2020〜2026年)に対し、総額の75%にあたる2,640万ドルの貢献を行っている。さらに、2021年から2024年にかけて、オーストラリアは、ノンソブリン(民間部門向け)プロジェクトへの協調融資に4億2,850万ドル、貿易・サプライチェーンプログラム向けに6,310万ドルを提供している。
ADBは、アジア・太平洋地域の持続可能でインクルーシブかつ強靭な成長の促進に向けて取り組む主要な国際開発金融機関である。ADBは、加盟国・地域やパートナーと緊密に連携し、複雑な課題に対応するために革新的な金融手段を駆使し、戦略的パートナーシップを通じて地域の人々の生活向上や質の高いインフラ整備を進めるとともに、地球環境の保護にも貢献している。ADBは1966年に創立され、50の域内加盟国・地域を含め69の加盟国・地域によって構成されている。
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