中国の1~7月の貿易黒字額は、前年同期比32%増、過去最高の6835億ドル(約100兆円)だった。「トランプ関税」への警戒から駆け込み輸出が押し上げた面があるとはいえ、通年換算で初の1兆ドルを超えるペースだ。住宅不況などを背景に輸入が伸び悩む一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)や欧州連合(EU)など米国以外の主要市場向けの輸出が伸び、過去最高水準で黒字を膨らませた。

 中国当局は「我が国の対外貿易は強い回復力を維持した」と強調するが、輸出先では警戒が広がる。欧州中央銀行が8月上旬に発表したリポートは、中国からの輸入増の影響で、2015~22年にEUの製造業で24万人分の雇用が失われた可能性があると指摘。米中の貿易戦争の影響で中国製品のEUへの流入が増えることで、EUの生産者はさらに厳しい競争に直面するとの見通しを示した。

 中国も貿易黒字の拡大を手放しで肯定しているわけではない。国内では生産者物価指数(PPI)が7月まで34カ月連続で前年同月比マイナスを記録し、輸出も自動車や鋼材など主要品目の単価下落が続く。電気自動車(EV)は1~7月に輸出数量が前年同期比で50.6%伸びたのに対し、…



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