フランス債は15日の債券市場で、南欧諸国の国債を下回るパフォーマンスとなっている。フィッチ・レーティングスによる信用格付け引き下げにより、政治的混乱の市場への影響が強く意識されている。

  フィッチは12日、政府債務の増加、政治的二極化の進行、財政見通しへの懸念を理由に、長期外貨建て債務格付けを「AA-」から「A+」に引き下げた。一方、スペインとポルトガルの国債は、それぞれS&Pグローバル・レーティングとフィッチによる格上げを受け、上昇を主導している。

Outgoing Minister Francois Bayrou and Sebastien Lecornu in Paris on Sept. 10.

フランスのバイル前首相(左)とルコルニュ首相

Source: AFP

  フランス10年債利回りは15日、1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して3.49%となったが、他の国債ほど下落していない。同年限のポルトガルやスペインの国債利回りは、それぞれ3b低下して3.10%、3.26%で取引されている。フランスとドイツの10年債利回り差(スプレッド)は、一時2bp拡大し81bpとなった。

  信用格付けでは上回っているものの、フランスは伝統的に財政がぜい弱な欧州周辺国より、高い借入コストに直面している。フランス政府が来年度予算を巡る改革で苦戦する中、投資家は警戒感を強めており、この2年で5人目の首相となったルコルニュ首相が、議員らと十分な共通認識を見出せるかを注視している。

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  コメルツ銀行のストラテジスト、ライナー・ギュンターマン氏は「フランス債は既に、他のAA格やA格の国債に比べ、著しく割安で取引されている。投資家は、他の格付け機関による今後数週間のさらなる格下げに備えているだろう」と述べた。

  フランスのベンチマーク利回りは、かつて市場から敬遠されていたギリシャなどの国債を上回っている。ユーロ圏で最も安全な発行体の一つと見なされていたフランスにとって、これは劇的な逆転だ。

  マクロン大統領が昨年、突然の総選挙を呼びかけ、国民議会(下院)が機能不全に陥って以来、フランス債に対する投資家の見方は悪化している。

  ジェフリーズの欧州チーフエコノミスト兼ストラテジスト、モヒット・クマール氏は、「ルコルニュ新政権が財政改革を確実に実行できるとは考えにくい。われわれは、フランスに対して引き続き否定的な見方を維持している」と述べた。

原題:French Bonds Lag Peers as Fitch Downgrade Weighs on Market(抜粋)

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