ウォール街のトップストラテジストらは、17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で予想される利下げが行われた後、記録的な米国株の上昇が一時的に勢いを失うリスクがあると指摘している。

  モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェース、オッペンハイマー・アセット・マネジメントのストラテジストらは、投資家が景気減速の可能性に注目するにつれ、強気ムードがより慎重な姿勢に取って代わられる可能性があると警告した。

  このところのFRBの金融緩和に対する期待は、S&P500種株価指数を最高値圏に押し上げた。ただ、17日に25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが行われたとしても、米労働市場の減速に対処するには不十分との懸念が高まっている。インフレ率は米連邦準備制度(FRB)が目標とする2%を上回っており、投資家はインフレに対する関税の影響を引き続き見極めようとしている。

  モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は、「短期的なリスクは、低迷する労働統計と、市場の『スピードへの求め』を満たせないかもしれないFRBの対応とのバランスに集中している」と述べた。それでも同氏は、株価が下落したら買いを入れるよう勧めており、最も強気なシナリオでは、S&P500が2026年半ばまでに9%上昇し7200に達すると見込んでいる。

  JPモルガンのストラテジストは、株式市場が弱い指標を無視して複数の最高値を更新しているものの、FRBが17日に今年初の利下げを実施すれば、この傾向は逆転する可能性があると指摘している。

  ミスラフ・マテイカ氏率いる同社のチームは、「緩和が再開されれば、株式市場は一時的に慎重姿勢に転じ、さらなる下落リスクを織り込み始めるだろう。つまり、現在の過度に楽観的な姿勢を再評価する形になる」としている。

  こうした警戒は、米国株式に対する広範な強気の見方とは相反する。S&P 500は、テック大手の好調な収益がけん引役となり、今年12%上昇している。ドイツ銀行やバークレイズなどのストラテジストらは今月、堅調な企業収益と人工知能(AI)への注目を理由に、S&P500の年末目標値を引き上げた。

  オッペンハイマー・アセット・マネジメントのチーフ投資ストラテジスト、ジョン・ストルツファス氏は、米経済の基調が底堅い限り、利下げ後の株価下落は、規模と期間の両方において限定的になる可能性が高いとしている。

  ストルツファス氏はリポートで、「FRBが予想通り25bpの利下げにとどまる場合、市場は利下げの予想で株価を過去最高値に押し上げた後、そのニュース後はやや売り込む可能性がある」と記した。

原題:Wall Street Strategists See Stock Rally Stalling on Fed Rate Cut(抜粋)

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