”広”がれ オープンファクトリー 中小製造業 富大でフォーラム

各地のオープンファクトリーの活動が紹介されたフォーラム=富山市の富山大五福キャンパスで

 中小の製造業が工場を外部に公開し、来場者にものづくりを体験してもらう「オープンファクトリー」をテーマにしたフォーラムが富山市の富山大五福キャンパスで開かれた。富山、福井両県の企業関係者3人が基調講演で独自の活動の効果や課題を紹介し、今後ますます必要になると意義を強調した。(坂本正範)

 オープンファクトリーは近年、企業単独でなく「地域一体型」としての取り組みが広がっている。

 今夏初めて「トミファ」と名付けたイベントを開いた「コンチネンタル」(富山市)の中村裕太朗取締役総務部長は、県内の若者の県外流出や自社の認知度不足といった閉塞(へいそく)感から開催した結果、「富山のものづくりを変える切り札になると確信した」と述べた。ただ「1回では変えられない。今後の問題は参加者を増やすこと」と話した。初回の17社から次回は50社、将来は100〜200社に拡大したい構想を披露し、「やるべきことは仲間集め。一緒にやりましょう」と聴衆に呼びかけた。

 フォーラムではこのほか、「漆器くにもと」(高岡市)の国本耕太郎さんが2012年に始まった「高岡クラフト市場街(いちばまち)」が人材採用への好影響や異業種とのコラボ(協働)などにつながったとした。

 眼鏡枠産地の福井県鯖江市などで開かれ、今年で11回目となる「RENEW」の新山直広ディレクターは産地の売り上げが落ちて未来への危機感がきっかけだったとして「最初の一歩は大変。始めるのは難しい」と苦労を語った。続けることで移住者が増えたことや、産地の意識が変化したと指摘した。

 中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局と近畿経済産業局がフォーラムを主催。県内で初めて11日に開催し、企業や支援機関などの関係者ら約50人が参加した。日本政策投資銀行の田中京さんが講演したほか、登壇者と富山大教授らのトークセッションもあった。

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