TRIBE TOKYO MMA主催「TTF CHALLENGE 11」
2025年9月14日(日)東京・練馬Coconeriホール

  

レポート&写真:井原芳徳

※全試合MMAルール

エフェヴィガ雄志、初黒星からの再起戦はニュージーランドのジョブリンに判定勝ち「来年、Road To(UFC)にリベンジしたい」

第10試合 メインイベント ライト級 5分3R
○エフェヴィガ雄志[Ephoeviga Yuji](TRIBE TOKYO MMA/修斗ライト級環太平洋王者・世界1位)
×ケーラン[キーラン]・ジョブリン[Kieran Joblin](ニュージーランド/シティキックボクシング)
判定3-0 (水垣30-27/金原30-27/岡田30-27)

 長南亮代表のTRIBE TOKYO MMAが主催するMMA大会「TTF CHALLENGE」は2014年から開催され、コロナ禍中は生配信や観客数を制限して行われていたが、昨年8月、久々に通常スタイルの大会が、ジムのある東京・練馬で開催された。

 エフェヴィガは練馬出身、TRIBE所属の25歳。昨年8月大会でもメインイベンターを務め、ベラトールで王座挑戦実績もあるエマニュエル・サンチェスと対戦し、1R TKO勝ちした。続く11月の修斗ではマックス・ザ・ボディに3R裸絞めで勝利し修斗環太平洋ライト級王座を獲得する。今年1月の修斗ではライダーHIROに1R裸絞めで勝利。5月、上海でのROAD TO UFC シーズン4に参戦し、ライト級一回戦でドム・マー・ファン(オーストラリア)に判定負けし、プロデビュー以来の連勝が11でストップした。再起戦もオセアニアの選手との試合となる。

 ジョブリンは36歳。17年7月にパンクラスに参戦し、当時パンクラス・ライト級1位の徳留一樹に判定負けして以来の日本での試合となる(その時の表記はキーラン・ジョブリン)。19~20年にはONEのトライアウトで3戦し1勝2敗で、長田拓也にも1R TKO負け。23年は2戦2敗で、長らく負けが込んでいた。だが昨年5月から今年5月にかけてオーストラリアの大会で4連勝中。今年3月、南アフリカの選手に判定勝ちしHEX Fight Seriesライト級王座を獲得し、5月には3R TKO勝ちし初防衛している。MMA 43戦28勝(10KO/12一本)15敗で、フィニッシュ率が高く寝技での一本勝ちのほうが多く、今回の試合でも寝技主体の勝負を仕掛ける。

 1R、ジョブリンは開始すぐにタックルを仕掛け、エフェヴィガは切る。ジョブリンは下からアームロックを狙うが、エフェヴィガは防御しつつバックを取る。エフェヴィガは裸絞めを狙うが、ジョブリンは対処して脱出し、終盤は上になる。エフェヴィガも片足をつかんで背中をつけず、両者体を起こした状態で終わる。記者採点はコントロール時間の長かったエフェヴィガ。

 2R、ジョブリンは組んで来るが、エフェヴィガは倒れず、金網際で押し合う。すると中盤、エフェヴィガが突き放すと、左のボディフックを当て、ジョブリンは前のめりでダウンする。エフェヴィガはパウンドを当て、上から押さえ、アームロックを狙うが対処される。終盤、スタンドに戻ると、パンチの打ち合いから、ジョブリンが右インローを放つとローブローとなり一時中断する。エフェヴィガが休んで再開するが、またもジョブリンの右インローがローブローとなり再び中断する。ジョブリンはタックルを繰り返すが、エフェヴィガは切ると、バックを奪う。エフェヴィガは裸絞めを狙って終える。記者採点はエフェヴィガ。

 3R、ジョブリンがタックルを仕掛けるが、エフェヴィガは潰し、ジョブリンは引き込み気味に下になる。エフェヴィガはハーフで押さえ続ける。中盤過ぎ、エフェヴィガがマウントを奪うと、ジョブリンはブリッジで返そうとするが、エフェヴィガはバックに移行し、裸絞めを狙って主導権をキープする。終盤、ジョブリンが脱出するが、タックルを仕掛けるも力が入らず、またも引き込んで下に。最後はエフェヴィガが上になったまま終わる。記者採点はエフェヴィガ。合計27-30でエフェヴィガ。ジャッジ3者も同じ採点でエフェヴィガを支持し、エフェヴィガが判定勝ちした。

 マイクを持ったエフェヴィガは「盛り上がりに欠ける試合をしてすみません。前回上海でキャリア初の負けになりました。終わってから色々考えたりプライベードでも色々あって、しくじっている中で学びました。今日の試合は内容的には微妙だったんですけど、覚悟決めて臨んだ試合です。それも自分だけじゃなくいつも支えてくれる皆さん、家族、チームメイトがいたからです。来月26歳になりますけど、スポーツ選手は長くできるわけじゃありません。来年、Road Toにリベンジしたいです。そのためにももっともっと強敵と戦って、もっともっとレベルアップしてきたいので、これからもよろしくお願いします」とファンにアピールした。

石井逸人、オーストラリアの選手に1R TKO負け

第9試合 セミファイナル 64kg契約 5分3R
×石井逸人(TRIBE TOKYO MMA/Brawlフェザー級王者、元修斗バンタム級環太平洋王者)
○カイル・マヨッキ[Kyle Mayocchi](オーストラリア/シティキックボクシング)
1R 2’24” TKO (レフェリーストップ:右ストレート→グラウンドパンチ)

 エフェヴィガ同じくTRIBE所属の石井逸人、阿部光太も、オセアニア勢と対戦する。
 石井は修斗バンタム級を長らく主戦場とし、昨年10月にグアムのBrawlで1階級上のフェザー級の王座を獲得。5月の配信特化型大会Breakthrough Combatでは上田祐起と対戦したが、2Rにローブローをもらい続行不能になり無効試合となっていた。
 マヨッキはTapologyのデータによると昨年4月にMMAデビューしたばかりで、ニュージーランドのShuriken Fight Seriesを主戦場に今年6月まで4戦全勝(2一本/1KO)。2つの一本は裸絞め、ギロチンによるものだ。

 マヨッキはフェザー級の選手で、バンタム級との中間の64kg契約で試合が成立したが、試合ではパワー差が出ることに。
 1R、体格で勝るマヨッキが序盤からプレッシャーをかけ、石井がケージを背負う状況が続く。マヨッキは左ストレートを当て、石井も打ち合いで右ストレートを返し、スリリングな展開に。石井は右カーフを当て、なんとか応戦していたが、石井が左にステップし、マヨッキが追いかけると、右ストレートをクリーンヒット。ダウンした石井に、マヨッキがパウンドで追撃したところで、高本レフェリーがストップした。

阿部光太、オーストラリアの選手に逆転TKO勝ち

第8試合 ウェルター級 5分3R
○阿部光太(TRIBE TOKYO MMA)
×シオネ・ヴェイコソ[Sione Veikoso](オーストラリア/Gracie Smeaton grange)
3R 0’46” TKO (レフェリーストップ:右フック)

 阿部は22年にMMAデビューし5戦4勝1敗。昨年12月のDEEP大阪大会では約半年後にDEEPウェルター級王者となる角野晃平に2R左ストレートでKO負けしている。
 ヴェイコソはTapologyのデータではアマチュアMMA 7戦5勝(3KO)2敗で、プロは今回初のようだ。元UFCミドル級王者・ロバート・ウィティカーのトレーニングパートナーを務めているという。

 1R、阿部が開始すぐタックルを仕掛けるが、すぐにヴェイコソは切り、金網に押し込む。だがヴェイコソが右膝を放つとローブローとなり、阿部のダメージが大きく、回復の時間が設けられる。2分ほどしてブレイクで再開すると、ヴェイコソがパンチの打ち合いで左フックを当ててダウンを奪う。ヴェイコソは上から肘と鉄槌を連打して追い詰める。ヴェイコソは肩固めを狙うが、少し疲れ気味で、阿部は下からアームロックを狙って脱出する。その後も阿部はアームロックを狙う等してじわじわ巻き返すと、最後はヴェイコソを金網に詰め、パンチを連打して追い詰めて終わる。記者採点はヴェイコソだが割れる可能性もある。

 2R、またもヴェイコソがパンチの打ち合いで左フックを当ててダウンを奪い、パウンドを連打して追い詰め、サイドになって肩固めを仕掛ける。阿部は耐えて脱出し、アームロックを仕掛け、返して上になり、パウンドを連打し猛反撃する。だが阿部はマウントを取ると、バランスが悪くなり、ヴェイコソが返して上になる。だがここでも阿部は脱出すると、上からパウンドを連打し、またも巻き返して終える。記者採点は阿部。

 すると3R、三度パンチの打ち合いとなると、ヴェイコソも右フックを当てるが、阿部は耐え、右フックを返すと、ヴェイコソを金網際に詰める。さらに阿部は右フックをヒット。右ハイはブロックされるが、さらに阿部がガードの隙間から右フックを当てると、ヴェイコソは腰が落ち、阿部が上から追撃しようとしたところで梅田レフェリーがストップし、阿部のTKO勝ちとなった。

 マイクを持った阿部は「何がなんだかわかんないです。前回負けて今回怖くて。でもみんな支えてくれて勝ててうれしいです。幸せです」と喜びを語った。

第7試合 バンタム級 5分2R(延長1R)
×上田直毅(パラエストラ東京)
○宮川日向(SMOKER GYM)
4R 判定0-3 (金原9-10/岡田9-10/水垣9-10)
3R 判定0-0 (金原19-19/岡田19-19/水垣19-19)

 1R、上田が柔術を駆使し、タックルを仕掛けて切られると、すぐに引き込んで下になり、さらにすぐにリバースして上になる。宮川が返して上を取り返すと、上田は下からすぐに三角絞めを仕掛けて追い詰める。中盤過ぎ、上田が解除し宮川は脱出しスタンドに戻す。だが上田は終盤、再び引き込んで下になる。宮川はサブミッションを許さず、時折パウンドを当てるものの、上田を追い詰めるほどにはならない。記者採点は上田。

 2R、上田は胴体に足を絡めて抱き着き、引き込みを狙うが、宮川はそのままセコンドの萩原京平のいる付近まで運んでから、マットに叩きつけるようにして倒して上になる。宮川は時折パウンドを当てる。上田はサブミッションに持ち込めない。一旦立ち、パンチの打ち合いの後、またも上田が下になり、宮川は随所で上からパウンドを当て、主導権を維持して終える。記者採点は宮川。合計19-19でイーブン。ジャッジ3者も同じ採点で延長へ。

 延長R、上田は変わらず引き込んで下になる戦略を選ぶ。宮川は2R同様に時折パウンドを当てる。終盤、宮川が体を起こしてパウンドをまとめると、上田はリバースに成功し、マウントを奪う。だが上田はその先の攻撃ができず、宮川はブリッジして再び上に。宮川がパウンドを当て、最後またも上田が返してマウントを奪うが、すぐにラウンドが終わる。記者採点はパウンドを当てた宮川。ジャッジ3者も宮川を支持し、宮川が判定勝ちした。

第6試合 バンタム級 5分2R(延長1R)
×榎本 明(リバーサルジム東京スタンドアウト)
○小山敬司(パラエストラ八王子)
2R 4’05” 腕ひしぎ十字固め

 1R、小山が引き込むと、下から腕十字を狙い、三角絞めを仕掛ける。中盤過ぎ、榎本は脱出すると、体を起こして度々重みのある左のパウンドを当てて小山にダメージを与える。小山は執拗に下から腕十字や三角を狙うが、極めには至らない。記者採点は榎本。

 2R、パンチの打ち合いで榎本が右フックを当ててダウンを奪う。榎本は上から押さえ、パウンドを何発も当てて追い詰めるが、フィニッシュまでまとめきれない。すると耐えた小山は下から三角絞めを仕掛ける。これは榎本が耐えたが、小山が腕十字に移行すると、ガッチリと極まり、榎本はタップした。

 大逆転勝ちの小山に場内は大盛り上がりとなり、小山も涙を流して大喜びした。マイクを渡された小山は「格闘技以外、何もできなくて、唯一できる格闘技で、こんなに見てくれる人がいてうれしいです。苦しかったけど勝ててうれしいです」と喜びを語った。

第5試合 バンタム級 5分2R(延長1R)
○藤田ムネノリ(SUBMIT MMA)
×千種純平(パンクラス大阪稲垣組)
3R 判定3-0 (金原10-9/岡田10-9/水垣10-9)
2R 判定0-0 (金原19-19/岡田19-19/水垣19-19)

 1R、千種が序盤からテイクダウンを奪いつつバックマウントを奪い、ポジションキープして裸絞めを執拗に狙う。バックマウントが崩れるとアームロック、三角絞めで藤田を追い詰める。終盤、脱出した藤田は金網際でトップキープするが、強いパウンドは打てず終わる。記者採点は千種。

 2R、藤田が序盤からタックルでテイクダウンを奪い、金網際で押さえる。だがその先の攻撃が乏しく、逆に千種が下から肘を連打する場面も。すると中盤過ぎ、千種はリバースして上を取り返し押さえる。終盤、またも藤田が上を取ると、下から千種が肘を当て、最後は腕十字を狙ったが、藤田はほどくと強いパウンドを連打し、正味のダメージを与えて試合を終える。記者採点は藤田。合計19-19でイーブン。ジャッジ3者もイーブンとし延長へ。
 延長R、藤田のタックルに対し、千種はアナコンダチョークを仕掛けるが、対処した藤田はアームロックを仕掛け返しつつ上を取る。藤田はトップキープし、立たれそうになっても押さえ続ける。終盤、藤田はハーフで押さえ続け、随所でパウンドを当てて、主導権を維持して終える。記者採点もジャッジ3者も藤田で、藤田が逆転判定勝ちした。

第4試合 フェザー級 5分2R(延長1R)
○シャ・ランディ(TRIBE TOKYO MMA)
×石田裕星(ロータス世田谷)
1R 2’37” 裸絞め

 1R、開始すぐからランディがタックルを仕掛け、金網際で背後に回り、グラウンドに持ち込む。ランディはバックを取ると舌を出し、観客の声援やセコンドの支持にも声を出してリアクションし、観客を楽しませると、マウントからパウンドを連打してダメージを与えてから、バックに回って裸絞めを極めタップを奪った。

第3試合 フライ級 5分2R(延長1R)
○和田教良[よしのり](ガイオジム)
×柿沼和敬(THE BLACKBELT JAPAN)
判定2-0 (金原20-18/水垣19-19/岡田20-18)

 1R、和田が距離を取って左ジャブを突きつつ、左インロー、右ストレート、膝蹴り、前蹴り等を随所でヒットし主導権を握る。まだ柿沼をひるませる攻撃はないが、柿沼は距離を支配され攻められない。記者採点は和田

 2R、和田が腰投げで倒し、ハーフガードで押さえ、時折パウンドを当てる。柿沼が下からしがみつく時間が長く、和田は強いパウンドを打てないが、時折当てるアクションは続けているため、レフェリーのブレイクは入らない。すると残り30秒を切り、和田がパスガードしマウントを取るが、乗り過ぎてしまい、柿沼がすり抜けて脱出すると、柿沼が上になり、強いパウンドを連打して終える。記者採点は最後反撃した柿沼。合計19-19でイーブン。ジャッジ3者の評価は割れ、UFC解説者としても長年活躍する水垣氏もイーブンとしたが、最近現役引退した金原・岡田の両氏は和田を支持し、和田が判定勝ちした。

第2試合 フェザー級 5分2R(延長1R)
○河坂修斗(KNOCK OUTクロスポイント吉祥寺)
×武本行平(ALLIANCE)
2R 2’16” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)

 1R、武本がタックルを度々仕掛け、オンブになって裸絞めを狙う場面を序盤と中盤の2度作る。河坂もタックルを切りながら鉄槌を当てる場面もあるが、捕まる時間が長い。

 2R、武本はタックルを繰り返すが、河坂は切り続けると、左ストレートをクリーンヒットして、武本をダウンさせる。その後も武本のタックルを河坂は切り、パウンドを当て、立てばパンチを当ててダメージを与える。武本はフラフラで、最後は河坂が倒してマウントを奪うと、左手で金網をつかむ反則をしながらではあったが、右の鉄槌を連打したところで、梅田レフェリーがストップした。

第1試合 フェザー級 5分2R(延長1R)
×テヘランカトウ(和術慧舟會HEARTS)
○谷 知哉(T-BLOOD)
2R 2’48” 裸絞め

 1R、カトウが開始すぐから右フックで谷をダウンさせ、パウンドで追撃するが、谷はすぐ立ち、金網に押し込む。だがその後もカトウがタックルでテイクダウンを繰り返し、マウント、ハーフ等でコントロールし、主導権を維持する。

 2R、カトウがタックルを繰り返すが、やや疲れが溜まってくると、谷も対処してスクランブルの展開からバックを取るように。すると中盤、谷がスタンドに戻し、右フックを効かせつつ、タックルで倒すと、すぐバックマウントを取り、裸絞めを極めタップを奪い、見事逆転一本勝ちした。

アマチュア フェザー級 5分2R
○野村泰雅(TRIBE TOKYO MMA)
×江森優惺(KNOCK OUTクロスポイント・パラエストラ吉祥寺)
判定3-0 (金原20-18/岡田20-18/水垣20-18)

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