公開日時 2025年09月14日 15:23更新日時 2025年09月14日 16:17
「児童生徒との不適切な関係」をテーマにした教員研修用教材
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共同通信
鹿児島県教育委員会と鹿児島大、静岡大は教員の不祥事防止に向け、研修で使える教材を共同開発し、無償提供している。これまで飲酒運転や職場でのハラスメントを題材とし、9月には「児童生徒との不適切な関係」を扱った教材を追加した。「条件や環境がそろえば誰もが不祥事を起こす可能性がある」とし、教員にリスクを自覚するよう呼びかけている。
鹿児島大院の高瀬和也助教と静岡大の塩田真吾准教授が作成し、鹿児島県教委が監修した。飲酒運転やハラスメントなどのテーマごとに、研修参加者がグループワークで使うシートや、研修の進め方を記したガイドがあり、県教委のホームページで公開している。
「児童生徒との不適切な関係」をテーマにした教材では、教員が子どもに交流サイト(SNS)のIDを教えてしまう状況を想定。相談に乗っていて好意を伝えられた際、どう対応するべきかを考えさせる項目もある。
文部科学省によると、2023年度に懲戒処分や訓告を受けた公立の小中高などの教員らは4829人で前年度から257人増えた。処分理由は交通違反や交通事故が最も多い。性犯罪や性暴力、セクハラでの処分は過去最多の320人だった。
実際に研修で活用した鹿児島県内の公立小の男性校長(60)は「さまざまな場面設定を通して内省を促すことができた。地道に取り組みを続け、未然防止につなげたい」と語った。
高瀬助教は「懲戒処分は自分のキャリアだけでなく、児童生徒や家族にまで影響が及ぶ。教育現場で広く活用してもらい、自分事として考えるきっかけにしてほしい」と話した。
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