ロシアのドローンに屋根が破壊されたポーランド・ルブリン県ヴィリキ村の建物のそばを歩くポーランド軍の兵士たち(2025年9月10日、写真:ロイター/アフロ)

(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

 9月9日にロシアがウクライナに対して行ったミサイル・ドローン攻撃では、一部がウクライナを越えポーランド領内への攻撃となった。NATO(北大西洋条約機構)加盟国に対する攻撃であり、政治的な影響の大きなものと言える。

 軍事的には、ウクライナがコンスタントに90%以上の迎撃率を出している中、ポーランドは21%(19機中4機のみを撃墜)しか迎撃できなかったことが話題になっている。

 しかし、筆者はこの数字は妥当というか、そんなものだろうと考えている。攻撃態様とポーランドおよびウクライナの防空体制を考えれば妥当な数字と言えるだろう。以下では、その理由を解説し、今後の政治的な影響も考えてみたい。

ドローン450機のうち19機がポーランド領内に侵入

 9月9日から10日にかけて行われたロシア軍の攻撃では、カリブル、Kh-101などの巡航ミサイル33発が使用された他、シャヘドをコピーしロシア国内で製造したゲラン2などのドローン450機あまりが使用されたと言われている。

 そのドローンの一部、19機がポーランド領内に侵入した。民家に被害は出たが死傷者はいないようだ。撃墜はその内の4機に留まる。ポーランドのトゥスク首相によれば、この4機を脅威と判断したからだというが、他の15機が無害と判断されたと考えることは難しい。迎撃できなかったと見るべきだろう。

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