接戦極まるオジエとエバンス。トヨタがリードを取り戻し「とても満足」とカンクネン代表代行/WRCチリ デイ2

接戦極まるオジエとエバンス。トヨタがリードを取り戻し「とても満足」とカンクネン代表代行/WRCチリ デイ2

 9月13日、南米チリ中部のビオビオ州にて2025年WRC世界ラリー選手権の第11戦『ラリー・チリ・ビオビオ』のデイ2が行われ、スペシャルステージ12を終えた時点で、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)がトップとなった。

 TGR-WRTからは計4台のトヨタGRヤリス・ラリー1が出走しており、エルフィン・エバンスが2番手、カッレ・ロバンペラが6番手、勝田貴元が7番手につけ、さらに若手育成チームのTGR-WRT2からエントリーするサミ・パヤリが5番手につけている。

 6本のステージの合計距離が139.20kmと、3日間の競技スケジュールのうち最長となるデイ2。早朝まで雨が降り、走り始めとなったSS7の路面はウェットコンディションに。マディ(泥状)になった路面も所々にあるなど、グリップ変化の大きな難しいステージとなった。ただ、降雨により路面のルースグラベル(滑りやすい砂利)がグリップに与える影響が小さくなったことで、出走順が早いドライバーたちにとっては歓迎すべき路面コンディションになった。

 そのSS7で2番手タイムを刻んだエバンスが、総合3位に浮上。一方、オジエは慎重なアプローチが裏目に出て7番手タイムとなり、総合4位に順位を下げてしまう。続くSS8でもエバンスの好走は続き総合2位に浮上すると、午前最後のSS9でついにエバンスが総合首位に、そしてオジエが総合2番手となり、トヨタ勢がリードするかたちで午後を迎えることになった。

 ミッドデイサービスを経て始まった午後の再走ステージは、依然湿っている区間もあったが全体的に路面は乾いていたため、タイヤ選択はドライバーごとに異なった。午後1本目のSS10ではオジエがベストタイムを刻み、2番手タイムの首位エバンスとの差を2.7秒に縮めた。オジエはSS11でもベストタイムを記録し、連続2番手タイムのエバンスを抜き1秒差で首位に立った。

 さらにオジエは、デイ2最後のSS12でも2番手タイムのエバンスに5.3秒差をつける圧巻のベストタイムを記録。総合2番手エバンスとの差を6.3秒に拡大してデイ2を終えた。一方、総合2番手のエバンスは総合3番手のアドリアン・フルモー(ヒョンデi20 Nラリー1)に対しては20.5秒のリードを築いている。

 デイ1で総合4位につけたパヤリは、エバンスのジャンプアップにより順位をひとつ下げながらも、午後のSS11で3番手、SS12で4番手タイムを記録するなどドライコンディションで速さを発揮。総合4番手のヌービルと8.7秒差の総合5番手でデイ2を終えた。

 前日不運に見舞われたロバンペラは、ウエットコンディションとなったSS9でベストタイムを刻み総合6番手まで順位を挽回した。ただ、午後の乾いた路面ではライバルより早い出走順がハンデとなり、路面のクリーニング役を担いペースダウン。午前中に16.3秒まで縮めていたパヤリとの差は、32.8秒差まで拡がった。

 また、前日総合6番手の勝田はSS8で総合8番手に順位を下げた。しかしSS9で4番手タイム、SS10と12で5番手タイムを記録し、順位をひとつ取り戻し総合7番手で一日を終えている。

 TGR-WRTのチーム代表代行ユハ・カンクネンは「我々にとって良い一日だった」とコメント。

「今朝の厳しい天候下でも我々のドライバーはコンディションに上手く対応し、午後はさらに速さを増した。他のチームに何が起きたのかは分からないが、我々は自分たちの持つスピードを存分に発揮することができ、とても満足している」

「セブとエルフィンは今日、本当に素晴らしい走りを見せてくれた。明日も自由に戦い、可能な限り速く走ってもらいたいと思う。彼らは同じタイヤセットで、50キロ以上もタイヤの摩耗に厳しいステージを走らなければならないから、勝負はフィニッシュまで決まらないだろう。また、サミもここまで信じられないほど良い走りを見せているから、前のドライバー(フルモー)との差もそれほど大きくないと言える」

 最終日となるデイ3は、4本のステージが行われる。合計距離は54.80kmと3日間で最短だが、最終ステージSS16は、トップ5タイムを記録したドライバーとマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる『パワーステージ」に指定されている。

[オートスポーツweb 2025年09月14日]

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