京都のアクタス・京都店にて、家具を通じてバウハウスのデザイン思想を現代に継承する、ドイツのブランド・TECTA(テクタ)の企画展「TECTA MIT KYOTO -バウハウスとテクタの名作家具展-」が開催されています。

TECTAは1972年の創立以来、バウハウスを代表する建築家・デザイナーらがデザインした名作家具を復刻しているブランドです(設立の経緯は後述)。
バウハウスの初代校長を務めたヴァルター・グロピウスや、バウハウス最後の校長となったミース・ファン・デル・ローエ、バウハウスで学びマイスターとして教授にもなったマルセル・ブロイヤーのチェアなど、バウハウスを代表する数々の名作家具を復刻しているほか、現代のデザイナーと協働した新作家具も世に送り出しています。これらの家具を通して、1919年の設立からナチスによって閉校に追い込まれるまで、14年間という短命に終わったバウハウスのデザイン哲学を受け継ぎ、次の世代へと継承することに大きく寄与しています。

アクタス・京都店「TECTA MIT KYOTO -バウハウスとテクタの名作家具展-」

〈TECTA F51 ARM CHAIR〉Designed by Walter Gropius (1920)
グロピウスが自身の執務室用にデザインしたアームチェアの復刻版、片持ち構造のアームが特徴
W70×D70×H70×SH42cm

アクタス・京都店「TECTA MIT KYOTO -バウハウスとテクタの名作家具展-」

〈TECTA D42 ARM CHAIR〉Designed by Ludwig Mies van der Rohe (1927)
ミースがデザインしたカンティレバーチェアの傑作の復刻版
W57×D84×H81×SH45cm

アクタス・京都店「TECTA MIT KYOTO -バウハウスとテクタの名作家具展-」

〈TECTA D4 CHAIR〉Designed by Marcel Breuer (1927)
ワシリー・カンディンスキーのためにデザインしたワシリーチェアに、折りたたみ機能を追加した進化モデル
W78×D61×H71×SH44cm

TECTAによる復刻家具
TECTA F51 ARM CHAIR(Design : Walter Gropius 1920)

TECTA 復刻家具〈TECTA F51 ARM CHAIR〉

TECTA D42 ARM CHAIR

TECTA 復刻家具〈TECTA D42 ARM CHAIR〉

TECTA D4 CHAIR

TECTA 復刻家具〈TECTA D4 CHAIR〉

本展は、今春に東京のアクタス・丸の内店にて開催された「TECTA MIT MARUNOUCHI -バウハウスとテクタの名作家具展-」を再構築して行われるもので、バウハウスのオリジナル家具の展示は2点増えて13点に。バウハウスの思想を現代の解釈でデザインしたTECTAのオリジナル家具も展示されるほか、今春のミラノサローネで発表されたTECTAの新作テーブルとチェアも披露されます。展示される多くの椅子は座り心地を体験できるほか、TECTAの創業者であるアクセル・ブロッホイザー会長と親交の深かったジャン・プルーヴェ(Jean Prouvé|1901-1984)との協業を紹介する展示も行われます。

アクタス・京都店「TECTA MIT KYOTO -バウハウスとテクタの名作家具展-」

TECTA新作家具〈TECTA M22 TABLE〉Designed by Katrin Greiling
デザイナープロフィール / Katrin Greiling(カトリン・グライリング / 1978-):1978年ドイツ生まれ、1998年にスウェーデンへ渡り、カペラゴーデンにてキャビネット製作と木工技術を学ぶ。その後、ストックホルムのコンストファック大学で家具デザインとインテリア建築を専攻し、5年間の修士課程を修了。卒業後はドバイに拠点を移し、不動産開発会社のためのグローバルオフィスを手がけた。2013年にスタジオをベルリンへ移転し、家具デザイン、インテリア建築、写真を融合させた学際的なアプローチで活動を展開している

アクタス・京都店「TECTA MIT KYOTO -バウハウスとテクタの名作家具展-」

TECTA新作家具〈TECTA B15 CHAIR | Design〉Designed by Wolfgang Hartauer

アクタス・京都店 会場風景
アクタス・京都店「TECTA MIT KYOTO -バウハウスとテクタの名作家具展-」

「TECTA MIT KYOTO」会場風景

アクタス・京都店「TECTA MIT KYOTO -バウハウスとテクタの名作家具展-」

「TECTA MIT KYOTO」会場風景

アクタス・京都店「TECTA MIT KYOTO -バウハウスとテクタの名作家具展-」

「TECTA MIT KYOTO」会場風景

アクタス・京都店「TECTA MIT KYOTO -バウハウスとテクタの名作家具展-」

「TECTA MIT KYOTO」会場風景

「TECTA MIT KYOTO -バウハウスとテクタの名作家具展-」開催概要

会期:2025年9月13日(土)~11月30日(日)
会場:アクタス・京都店
所在地:京都府京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620 COCON烏丸 1F・2F(Google Map)
営業時間:11:00-19:00
観覧料:無料
※アクタスはドイツ・TECTA社の日本総代理店

イベント詳細
https://www.actus-interior.com/news/tecta_mit_kyoto/

アクタス・京都店「TECTA MIT KYOTO -バウハウスとテクタの名作家具展-」

TECTA

左:TECTA現CEOのC・ドレッシャー氏 / 右:TECTA創始者のA・ブロッホイザー氏

旧東ドイツの出身であるTECTA社の創業者、アクセル・ブロッホイザー(1943-)は、バウハウスのデザインに魅了され、西ドイツに亡命。1972年にTECTAを設立します。そして、バウハウスとともに尊敬の念を抱き続け、師と崇めていたのがフランスのデザイナー、ジャン・プルーヴェ(1901-1984)だといいます。

プルーヴェが実現することができなかったイージーチェアを、ブロッホイザーがたった1枚のスケッチを元に具現化したことから、TECTAとの親交が深まります。以降、プルーヴェはバウハウスから誕生し、TECTAのシグニチャーのひとつであるカンチレバーチェアの構造強化へのアドバイス(後にチューブアプラティとして特許を取得)や、ベストセラーアイテム〈M21〉テーブルの不定形ラインの天板をデザイン。晩年までプルーヴェはTECTAにはなくてはならない存在となりました。

本展では、彼らの交流のきっかけとなったプルーヴェによるイージーチェアのスケッチと、後に製品化した実物〈D80〉を展示。2022年に東京都現代美術館で開催された「ジャン・プルーヴェ展」には出品されなかったプロダクトで、TECTAとプルーヴェの交流を辿ることができる貴重な現物資料となります(いずれも展示のみ、非売品)。

ジャン・プルーヴェ イージーチェアD80

スケッチ(下の図)から製品化した〈TECTA D80チェア〉

アクタス・京都店「TECTA MIT KYOTO -バウハウスとテクタの名作家具展-」

ジャン・プルーヴェによるイージチェアのスケッチ

ジャン・プルーヴェ イージーチェアD80

TECTAが再現したプルーヴェのイージーチェアD80

ミュージアムを併設したTECTA本社
TECTA本社

ドイツ・ローウェンホルデにあるTECTA本社

TECTA本社

本社内観 バウハウス当時の貴重な資料がアートのように飾られている

TECTA本社敷地内にある私設ミュージアム・クラーグシュトゥールムゼウム(Kragstuhlmuseum)

TECTA ミュージアム・クラーグシュトゥールムゼウム(Kragstuhlmuseum)

私設ミュージアム・クラーグシュトゥールムゼウム(Kragstuhlmuseum)では、世界最大というカンティレバーの椅子のコレクションをはじめ、バウハウス、プルーヴェなど家具の研究のために収集したコレクションを見ることができる

TECTA Website
https://www.tecta.de/

WACOCA: People, Life, Style.