物価の安さや非日常感から、2000年代初頭に起こった「アジアンリゾートブーム」。バリ島やベトナム、タイといった東南アジアは日本人の高い人気を集めたが、同時期に台頭したアフリカの「サファリロッジ」には見向きもしなかった……。山口由美氏による著書『世界の富裕層は旅に何を求めているか 「体験」が拓くラグジュアリー観光』(光文社)より、その理由を解き明かしていく。

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日本人富裕層には不人気だったアフリカの高級サファリロッジ

ラグジュアリーの新たなジャンルとして、2000年代以降、野生動物の生息する大自然を体感するアフリカのサファリロッジが台頭してきたが、では、なぜ日本人は、これに共鳴しなかったのだろうか。

 

日本人マーケットがアジアンリゾートブームを少なからず牽引していたのは、ほぼ同じ頃のことだ。時代はポストバブル、日本経済の絶頂期は過ぎていたが、円がまだ強かったこともあり、日本人はよく海外を旅していた。この頃、憧れの目的地として浮上したのが、インドネシアのバリ島やタイのプーケットなど、アジアンリゾートの舞台となった東南アジアだった。

 

距離的な近さ、文化的な親近感、リゾートの宿泊料金はともかく現地物価は今と比べてはるかに安かったことなど、アジアンリゾートがブレイクした理由はいくつかある。代表格であるアマンリゾーツの宿泊料金は当時から高価だったが、アイコン的な憧れの存在として、ブームを牽引する役割を果たした。

 

だが、アフリカは、1992年に日本人経営のムパタ・サファリ・クラブが開業するなど、一過性のブームはあったが、日本では憧れの旅行地として定着しなかった。欧米では、ラグジュアリーサファリロッジの登場以降、富裕層のハネムーンや節目旅行における憧れの旅行先として定番化したのとは対照的だ。

 

物理的な距離の遠さだけが問題だったのだろうか。それ以上に心理的な距離に障壁があった気がする。

 

たとえば、同じ遠距離の秘境と呼ばれる目的地でも南米のペルーは日本人に人気が高い。

 

同じ世界遺産でも、南部アフリカのボツワナにあるオカバンゴ(野生動物の宝庫であり、多くのラグジュアリーロッジがあることで知られる)を知る日本人は極めて少ないが、ペルーのマチュピチュ遺跡の知名度は高く、多くの日本人にとって、一生に一度は行ってみたい憧れの観光地である。

 

ペルーのリマよりも、南部アフリカの玄関口となる南アフリカのヨハネスブルグのほうが日本からの飛行時間は短いという話をすると、たいていの人は驚く。これは、アフリカに対しての心理的距離が、物理的距離を上回っているという事実ではないだろうか。

 

遺跡は人気があるけれど、野生動物は人気がない。その真意は何なのだろう。

 

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