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【写真で見る】議論を呼んでいる牛乳パックの“広告”

島根県の乳業メーカー・木次乳業のパッケージに記載されているこの文言です。広告欄に「お母さんがたへ、赤ちゃんにはなるべくあなたの母乳を差し上げて下さい」と書かれています。

この表現に今、SNS上で様々な意見が書き込まれています。

「母乳が出ないお母さんが見たら辛い」
「プレッシャーや罪悪感を与える『授乳ハラスメント』になりうる」

母乳が出ない女性への配慮に欠けるといった意見がある一方…

「手間がかかってる牛乳なので、ネガティブ寄りの話題になるの辛い」
「パッケージで飲むのやめるのは勿体ない」

…といった擁護する声もあります。

Nスタはきょう、この乳業メーカーの製品が販売されているアンテナショップに取材に行きました。

報告
「こちらでは木次乳業の製品がずらーと並んでいます」

“濃厚で栄養満点”と評判の牛乳のほかにも、特大サイズのアイスクリームやモッツァレラチーズなど10種類以上の商品が店舗の一番目立つ場所に陳列されています。

“母乳”についての文言は、およそ50年前から変わらず掲載されているといいます。きょう、社長に話を聞きました。

木次乳業 佐藤毅史 社長
「人が口にするものは、自然からの恵みが最良と考えています。その中で母乳というのは、一つの例えとして表現した」
「ただこういった表現で、不快に思っている方がいることも存じ上げている。大変申し訳なく思っております」

街で意見を聞くと、受け止め方は様々です。

50代
「『母乳じゃなきゃダメ』と言われてる気がする。母乳で育てられなかった経緯があったから、言い回しがあの文面になると誤解を生んじゃうのかな」

30代
「時代にそぐわない」

60代
「私もあまり母乳出なかったんですけど、そのために粉ミルクがある。切り替えて使えばいいのでは。企業の精神みたいなものを貫いてもらって良いと思います」

20代
「産後や子育てが大変な時は、心が傷つきやすい人も多いと思う。傷つく人もいると思います。言葉の選び方とか、もう少し考えられたら良かったのかな」

50代
「地元の人が長く愛している商品なら、いろいろ言わなくても良い気がする」

■「今の時代に合致しているか、一度冷静に議論した方がいい」

井上貴博キャスター:
親子の状況や家庭の状況が千差万別で全然違うことを考えると、本来ならミルクでもいいし、母乳でもいいし、それぞれの選択肢がそれぞれ尊重される社会の空気感が大切なのかなと思います。

出水麻衣キャスター:
本当に冷静な議論をしたいなと思います。そもそも木次乳業の創業者が酪農を始めたのが1953年で、当時は化学肥料が出て来て、牧草の汚染などが疑問視されていたので、“食の安全”というのをずっと呼びかけていたという背景もあります。

そういった企業からのストーリーを知っていくと、その文言がなぜ載っていたのかも理解できるような気はしますが、今の時代に合致しているかは、一度冷静に議論した方がいいと思いますね。

井上キャスター:
議論を行って、変わっていくのかどうか、時代でアップデートしていくのかはとても素晴らしいことだと思います。木次乳業の佐藤社長も「時代に合わせた表現方法も合わせて考えているところです」ということですので、母乳以外でも、こうあるべきという考え方は柔軟に変わっていくべきなのだろうと感じます。

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