9月11日、 米議会で、外国に業務委託(アウトソーシング)する米企業に25%課税する案が浮上している。バンガロールで2012年2月撮影(2025年 ロイター/Vivek Prakash)
[ベンガルール 11日 ロイター] – 米議会で、外国に業務委託(アウトソーシング)する米企業に25%課税する案が浮上している。米企業を主要顧客とするインドの巨大なITセクターは、顧客から契約の延期や再交渉を迫られ、長期にわたって不確実な環境下に置かれる恐れがある。
米上院のモレノ議員(共和党)は先週、米国民を差し置いて外国人労働者を採用する企業に課税するとともに、米企業がアウトソーシングの支払いを税控除対象経費として申告するのを禁止する「HIRE法案」を提出した。
法案が原案通りの形で可決される可能性は低いものの、世界最大のアウトソーシング市場である米国の大企業のITサービス調達方法が漸進的に変化し、インドのITセクターに影響が及びそうだとアナリストや法律専門家は言う。
インドのIT産業は2830億ドル規模で、ソフトウエアサービスを輸出することで国内総生産(GDP)の7%超を占めるまでに成長した。主要顧客にはアップル(AAPL.O), opens new tab、アメリカン・エキスプレス(AXP.N), opens new tab、シスコ(CSCO.O), opens new tab、シティグループ(C.N), opens new tab、フェデックス(FDX.N), opens new tabなどの米企業が名を連ねる。
インドIT業界は現在、インフレ圧力と関税の不透明感から米市場で売り上げの伸びが鈍化しており、HIRE法案は最悪のタイミングで提出された。
EYインドの法令順守責任者、ジグネシュ・タッカー氏は、連邦税、州税、地方税を合わせると、アウトソーシングの支払いに課される税率が60%に達する可能性もあると指摘する。
HFSリサーチのサウラブ・グプタ社長は「政治的な騒ぎが規制上のリスクに発展すると、顧客はすぐに不測の事態に備えた条項を挿入し、価格設定を再検討し、納期の柔軟性を要求する」と懸念を示した。
ただ課税対象は海外ITサービスに依存する米企業なので、米企業は法案成立に強く反対するロビー活動を行い、議会が可決した場合には法廷で争う可能性が高いと法律専門家や業界筋はみている。
HFSリサーチのフィル・ファースト最高経営責任者(CEO)は「より可能性が高いのは、条項が狭められたり施行が遅れたりして、法案の内容が薄められたバージョンになることだ」と述べた。
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