韓国キャピタルゲイン課税強化、大統領は必要ないと明言

 9月11日、韓国の李在明大統領(写真)は、株式投資家に対する課税を強化するために計画していたキャピタルゲイン税の課税基準引き下げについて、必要ないとの認識を示し、国会の判断に委ねる意向を明らかにした。写真はソウルで8月撮影(2025年 ロイター/Ahn Young-joon)

[ソウル 11日 ロイター] – 韓国の李在明大統領は11日、株式投資家に対する課税を強化するために計画していたキャピタルゲイン税の課税基準引き下げについて、必要ないとの認識を示し、国会の判断に委ねる意向を明らかにした。

李氏は記者会見で「株式市場に悪影響を与えるなら、課税基準を現在の50億ウォンから10億ウォンに引き下げる必要はないと考える」と述べた。投資家の反発を受け、政権として市場活性化に向けた改革を進める姿勢を改めて強調した。

同案は現在、国会で審議中で、与党「共に民主党」と最大野党「国民の力」の双方が、課税基準の据え置きに賛成することで一致した。

韓国株式市場(.KS11), opens new tabは、李氏が会見で同案を撤回するとの期待から、最高値を付けていた。会見後は一時下げに転じたが、その後は反発し0.9%高となった。

李政権は7月、税制改正案として、株式取引税を現在の0.15%から0.2%に戻し、キャピタルゲイン税の課税対象となる「大株主」の基準を50億ウォンから10億ウォンに引き下げる案を提示していた。

この案を巡っては、国内株式市場の活性化を掲げる李氏の公約と矛盾するとの懸念が広がり、政府・与党内でも見直しの動きが強まっていた。

李氏は、株価が慢性的に割安な状態にある「コリア・ディスカウント」を解消するため、価格操作などの不公正な取引慣行に厳しく対処すると表明。

さらに公的年金基金である国民年金公団が国内株式への投資を強化すべきだと提案。国内市場への影響を防ぐために海外資産を増やすという公団の政策は理解できないと述べた。

「(公団は)20─30年後に売却の必要が生じた際に国内市場が下落するリスクがあるため、外国株を買っている。これは理にかなっているように聞こえるが、30年後のことであり、それまでに株価は上昇するだろう」とし、チャンスを逃すことになると述べた。

李政権は、株式取引税を現在の0.15%から0.2%に戻す案は撤回していない。

投資家は李氏による市場改革が前政権の取り組みよりも強力だとみている。ピクテ・アセット・マネジメント(シンガポール)のヘッジ・ファンド・マネージャー、ジョン・ウィザー氏は、「日本で見られたように、改革の推進を背景に市場は引き続き好調を維持するとの楽観的な見方が広がっている」と述べた。

マシューズ・アジアのファンドマネージャー、パク・ソジョン氏は、「現政権のコーポレートガバナンス改革は変革に向けた強固な土台を築いてきた。今後さらなる改革の兆しが見えている」と指摘した。

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