パリ(CNN) フランス各地で10日、道路封鎖や放火、警官隊との衝突を伴う抗議行動が広がり、治安部隊は催涙ガスで対応した。
内務省によると、全国で473人が拘束され、8万人の警官が動員された。教育省は約100校が影響を受け、27校が完全に封鎖されたと明らかにした。
混乱のさなかに新首相に就任したのは、セバスチャン・ルコルニュ氏。9日にエマニュエル・マクロン大統領に任命された。先の信任投票で失脚したフランソワ・バイル氏の後任として政権を率いることになった。
首相交代式で、退任するフランソワ・バイル氏に拍手をおくるセバスチャン・ルコルニュ氏/Ludovic Marin/AFP/Getty Images
今回の抗議行動は数カ月前から呼びかけられており、矛先はマクロン氏や政界全体に向けられている。
10日には、活動家らがボルドーやレンヌ、ナント、カーンで環状道路を封鎖するなど、小規模ながら交通に混乱を招いた。
首都パリでは、CNN取材班が、最も利用者多い駅の一つであるパリ北駅前の道路をふさぐ約150人の若者らを確認した。おおむね平穏な雰囲気のなか、警察への抗議のスローガンを唱えていたが、警察はすみやかに事態を収拾した。市内では公共施設の一時占拠も起きた。
「全封鎖」の抗議活動の一環として、ごみ箱などで道路を封鎖するデモ参加者/Stephane Mahe/Reuters
パリでデモに参加したアデル・オーベールさん(27)は新政権を「非難」するために来たと語った。首相交代でも何も変化は起きないとし、「嘆願書を提出しても誰も耳を傾けてくれない。だから抗議を続けるしかない。それが政権を非難する唯一の方法だから」と話した。
パリ中心部シャトレには数千人が集結した。
研究者のアンナさん(29)は「私たちは怒っている。とても怒っている」と語った。「投票しても意味がない。政府が国民の声を聞いていないと感じるから」とし、マクロン政権下の相次ぐ内閣は左派の代表を取り込んでいないと不満を述べた。若者の参加の多さに驚いたとも語った。
今回の「全封鎖」の運動は、SNSで生まれたリーダー不在の緩やかな連合体。5月に右派系グループの間でSNS上に登場したが、その後は左派や極左に引き継がれた。
Reuters
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