ロシア、今年の借り入れ増額へ 財政赤字拡大=財務相

 9月9日、ロシアのシルアノフ財務相は、財政赤字の拡大に対応するため、今年の借り入れを予定より増やす方針を示した。写真は同財務相、サンクトペテルブルクで開催された経済フォーラムで6月撮影(2025年 ロイター/Anton Vaganov)

[モスクワ 9日 ロイター] – ロシアのシルアノフ財務相は9日、財政赤字の拡大に対応するため、今年の借り入れを予定より増やす方針を示した。

ただ、高金利、ルーブル高、資本市場の流動性不足が借り入れ能力を制約する要因となっている。

財務省は今年の財政赤字見通しを当初の国内総生産(GDP)比0.5%から1.7%に引き上げた。ウクライナ戦争で軍事支出が続いており、財政赤字はこの水準を上回る見込みだ。

シルアノフ氏はRBCラジオのインタビューで「債務を増やすことは可能か。可能だ。今年増やす。ただ、常識の範囲内であることを先に言っておきたい。財政に大きな不均衡をもたらすようなことはない」と述べた。

ロシアは今月、新たな予算案を議会に提出する。歳出予定額は今月12日の中央銀行の金利決定で重要な要因となる。

今年は4兆8000億ルーブル(575億5000万ドル)の借り入れを計画していたが、すでに4兆2000億ルーブルを借り入れており、今年の予定額に近づいている。ロシアはウクライナ戦争で制裁を受けており、西側の資本市場から締め出されている。

シルアノフ氏は「われわれは国債発行で、もっぱら国内投資家を重視している。外国人投資家はいない」と語った。

同氏によると、ロシアの対GDP債務比率は約15%と、世界でも有数の低水準。プーチン大統領は、債務負担が少ないため、財政赤字を増やす余地があると述べている。

ただ、中央銀行の主要政策金利は18%と高く、国内市場での借り入れコストは高い。シルアノフ氏は、債務負担が少ないにもかかわらず、国債の利払い費が歳出全体の8%を占めていると不満を漏らした。

ロシアの5年物国債の利回りは13.5%。

シルアノフ氏は「債務を増やし続ければ、他の全ての支出が圧迫される。優先事項に回せる資金が減る」と述べた。

同氏は、ロシアが「友好国」と見なす国の投資家向けに新たな国債を発行する可能性に言及したが、詳細には触れなかった。ロシアで最も取引されている外貨は人民元で、一部の企業は国内市場で元建て債を発行している。

ロシアと中国は元建てソブリン債発行を巡り、10年以上交渉を続けているが、ロシアが自国の金融インフラを使うべきだと主張しており、交渉はほとんど進展していない。

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