【写真】ラリーを終えて整備されるセバスチャン・オジエのトヨタGRヤリス・ラリー1

 2週間前の8月末には、同じ南米のパラグアイで第10戦が開催されたばかりであり、この2大会の間は10日ほどの準備期間しかない状況だ。WRC.comは、5台のラリー1マシンを走らせているTOYOTA GAZOO Racing WRTが南米グラベル連戦を戦い抜くために必要な準備とロジスティクスの流れを紹介している。

 F1やWEC世界耐久選手権などのような、主にサーキットで行われるレースとは異なり、公道を舞台とするWRCでは世界中の各都市でサービスパークを設置しながら転戦している。各ラウンドごとにチームはそれぞれのサービステントを建設し、複数台のマシンを整備するための拠点を築いている。

 さらにテントはマシンの整備拠点となるだけでなく、同時にドライバーやエンジニア、メカニック、マネージャーらも含むチーム全体の拠点としても機能する。

 今回紹介された情報によれば、セバスチャン・オジエが制した第10戦パラグアイが幕を閉じたのち、まずはラリーを戦い抜いた5台の車両を整備するために分解・点検が行われたという。

 この作業は25人のテクニシャン・7人のスペシャリスト・3人のエンジニア・4人のチームコーディネーターによって行われる。5台すべてを移動可能な状態までふたたび組み立てるまでに要する時間は計3日間だ。

 細心の注意を払い、徹底して行われるこの作業は計25個の工具箱と12個のジャッキが使用される。各車両のメインボディパネル(9枚)は交換可能となっており、エンジンもトランスミッションとともに取り外されて組み直される。さらに予備のボディパネル、トランスミッション、エンジンも用意されている。

 3日間をかけた整備作業が終わると、ラリー・チリ・ビオビオの開催都市『コンセプシオン』へ向かう準備は完了。チームはようやく約2400kmの旅程につく。

 パラグアイまでの荷物輸送は海上と航空での輸送を組み合わせて搬入されており、6月13日にパラグアイに向けて出発した9個の海上コンテナと、ラリー車両を含む荷物を積んだ15個の航空貨物コンテナが含まれている。

 そしてパラグアイ・エンカルナシオンからチリ・コンセプシオンまでの運搬は陸路となり、この作業はすべてチームの輸送ロジスティクスパートナーであるDHLによって行われる。

 到着後は、パラグアイでも使用したサービステントをふたたび建てるところから作業は始まる。5台のGRヤリス・ラリー1やホスピタリティ施設、そして運営スタッフのための仕事部屋として利用されるこの仮設テントは、10名の作業員によって建てられ、建設には3日間、解体には1日かかるそうだ。

 サービステントの完成後、5台のGRヤリス・ラリー1は大会出走へ向けて再整備を受け、11日(木)のシェイクダウンから第11戦『ラリー・チリ・ビオビオ』に臨む。

[オートスポーツweb 2025年09月10日]

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