公開日時 2025年09月10日 05:00更新日時 2025年09月10日 06:37
具志堅興児さん提供
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琉球新報朝刊
県民に身近なタコスの皮「トルティーヤ」を県産で提供できる未来は近いかもしれない―。国頭村鏡地で具志堅農園を営む具志堅興児さん(44)は、トルティーヤの原料となるトウモロコシを育てる「トルティーヤ・プロジェクト」に挑戦している。本紙報道で「照間トウモロコシ」の存在を知って昨年から栽培を始めており、生産を増やしたい考えだ。具志堅さんは「県産100%トルティーヤを使用したタコスを、多くの飲食店で提供してほしいし、県内外の人にたくさん食べてもらいたい」と語り、農業など第1次産業の活性化や地域の発展につながると期待は膨らむ。
栽培した「照間トウモロコシ」などを手にする具志堅興児さん。「来年は照間トウモロコシを増やし、普及にも貢献したい」と話す=7月、国頭村鏡地
「トウモロコシ農園を作りたい」と2014年、30代で、祖父が開拓した農地で新規就農した具志堅さん。地域の仲間と協力し、従来の沖縄の野菜に加え、糖度が20度を超える「くんじゃんコーン」などの栽培にも挑戦してきた。トウモロコシからトルティーヤを作ることを具志堅さんに提案したのが、国頭村地域おこし協力隊の和田佳浦さん(48)=埼玉県出身=だった。メキシコの農村などで6年間暮らし、トルティーヤの作り方もよく知っていた。
具志堅さんは当初、北海道の企業から種の提供を受けていたが、昨年6月の本紙報道でうるま市照間出身の田場佑俊さん(78)が開発した「照間トウモロコシ」を知り、種を分けてもらった。サトウキビ栽培の技術を応用でき、沖縄での栽培に適した照間トウモロコシ。中南米の在来種を基に、田場さんが14年から約10年かけ、開発した。
具志堅興児さん提供
具志堅さんのトルティーヤ・プロジェクトについて、田場さんは「非常にうれしい。沖縄の人たちに食べ物を育てる経験を広げていきたい」と話す。
和田さんも「タコスの皮も沖縄産でできれば最強ではないか。田場さんの技術とタコスで沖縄の可能性はもっと広がると思う」と話す。
具志堅さん自身が栽培したトウモロコシでトルティーヤを作り、試作したタコス
具志堅さんは試しにタコスを作り、県内外のイベントで販売。好評を得ており、東京のフレンチレストランでも使ってもらっているという。現在、県内で提供されるタコスの皮は99%が輸入だといい、「ビジネスチャンスもある」と期待を込める。
(中村万里子、玉寄光太)
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