欧州の自動車メーカー幹部は、今週のミュンヘン・モーターショーで、新型電気自動車(EV)をアピールする一方、2035年までに内燃機関車の新車販売を段階的に禁じる欧州連合(EU)の方針に強い反発も示している。
欧州自動車市場の停滞、EV需要のばらつき、比亜迪(BYD)を筆頭とする中国メーカーとの競争激化に直面する中、フォルクスワーゲン(VW)、メルセデス・ベンツグループ、ステランティスのトップ経営陣が8日、EUの措置に反対の声を上げた。
ミュンヘン・モーターショーで登壇したVWのオリバー・ブルーメCEO(9月8日)
Source: Bloomberg
VWのオリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は、複数の新型EVを披露した直後、記者団に「2035年までにEV100%にするのは非現実的だ。現実的な見直しを強く主張する」と述べた。
EUの迅速な脱炭素化の実現を巡り、欧州の産業界重鎮と政策立案者との間で、対立が強まっている。12日には、EUの執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長と産業界幹部の会合が開かれる。
ドイツのメルツ首相は段階的廃止に批判的で、9日のミュンヘンでの講演で「われわれはもちろん、EVへの移行に取り組んでいる。しかし、規制にはより柔軟性が必要だ」と訴えた。
メルセデスのオラ・カレニウスCEO(9月7日)
Source: Bloomberg
メルセデスのオラ・カレニウスCEOも、ブルームバーグに対し「今こそ政策立案において何が機能し、何が調整を要するかを見直す時だ。何もしないという選択肢は、あり得ないと確信している」と強調した。
ドイツからフランス、イタリアに至るまで、何百万人もの雇用をもたらし、各国経済の中心的存在であるサプライチェーン(供給網)全体に、EUの措置は激変をもたらしかねない。一方、EUがこの措置を撤回すれば、気候変動対策に対する信頼性を損ない、EV普及の面で欧州が中国にさらに遅れをとるリスクがある。
12日の会合では、自動車メーカーと部品メーカーが、フォンデアライエン氏に懸念事項を提示する。同氏周辺が2035年の期限は維持されると主張する一方、当局者は移行技術に関する妥協の可能性を示唆しており、業界トップとの激しい対決になりそうだ。
欧州委員会は自動車を巡る目標の見直しを開始しており、来年にも変更案を提示する見込みだ。
原題:Mercedes, VW Tout New EVs While Resisting Combustion Ban (1)(抜粋)
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