米ジョージア州で先週、現代自動車とLGエナジー・ソリューションの合弁電池工場施設の大規模な不法移民摘発が行われ、数十億ドル規模の投資計画への懸念が生じたことを受け、韓国の大手財閥は、影響を封じ込めようと急いでいる。

  韓国の呂翰九産業通商資源相は8日の閣議で「移民取り締まり後の米国投資に関する懸念は十分認識している。外務省を含む関係機関と連携し、制度改善の方法を模索する」と述べた。

  先週の大規模な摘発は、トランプ米大統領と韓国の李在明大統領の首脳会談から2週間も経たないうちに実施され、手首や腰、足首を拘束された労働者の映像が韓国国民に衝撃を与えた。

  米韓首脳は、韓国企業の米国進出を支援する3500億ドル(約51兆6500億円)規模の基金を含めた貿易協定で合意している。韓国企業はこれに加え、両国間の貿易関係強化に向け1500億ドルの対米直接投資を約束した。

  だが、今回の取り締まりにより、一部企業は慎重姿勢を見せ始めている。

  韓国経済新聞は8日、LGエナジーがジョージア州の工場の稼働開始を、年内から来年上半期に一時延期すると決めたと報じた。情報源は明記されていない。同紙によると、現代自動車も従業員の全米出張を禁止した。現代自動車傘下の起亜自動車の生産計画にも影響が出そうだ。

  LGエナジー広報は8日、市場環境を理由に、生産開始を既に延期していたと説明し、先週の摘発が工場運営に影響するかは現時点で判断できないとしている。現代自動車と起亜自動車の広報担当者は報道について問われ、事業への影響を判断するには時期尚早と述べた。

  以前から警戒を強めている企業もあった。サムスン電子広報によると、同社は5月、米短期滞在ビザ「ESTA」を利用した米国出張に関する社内指針を出し、出張期間は2週間を超えてはならないと従業員に通知した。

  今回の摘発は、米国ビザの取得に数カ月を要する間、人手不足を補うために下請け業者に依存する外国企業のリスクを浮き彫りにした。

  韓国商工会議所会長を務めるSKグループの崔泰源会長は、与党幹部との会談で、同様の事態の再発を防ぎ、円滑な事業運営を確保するため、米国ビザの割当枠の確保を政府に要請した。

  ライフ・アセット・マネジメントのカン・デグン最高投資責任者は「この事例は、韓国企業が米国投資で利益を上げるのがいかに困難になったかを示している。インフレで投資収益率は既に低下傾向にあったが、今や企業は雇用難にも直面している」と指摘した。

原題:South Korean Firms Reel From Fallout of Hyundai Plant Raid (1)(抜粋)

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