欧州連合(EU)の欧州委員会は現地時間9月5日、広告技術の反競争的な慣行を理由に、Googleに29億5000万ユーロ(約5100億円)の制裁金を科すと発表した。

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提供:CNET

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 この制裁金は、Googleが自社のオンライン広告表示サービスを優遇し、競合他社やオンラインパブリッシャーに損害を与えたとするEuropean Publishers Council(欧州メディアの代表者らが構成する団体)からの申し立てに端を発するものだ。欧州委は、Googleがこうした自己優遇的な慣行をやめ、利益相反を解消することを求めている。2024年に約3500億ドル(約52兆円)の売上高を報告したGoogleに対し、サービスの一部売却を勧告する前に、法令順守に向けた同社の提案を検討するという。

 欧州委のクリーン・公正・競争性のある移行担当執行副委員長であるTeresa Ribera氏は、プレスリリースで次のように述べた。「デジタル市場は人々に奉仕するために存在し、信頼と公正に基づかなければならない。そして市場が機能不全に陥ったとき、公的機関は支配的なプレーヤーがその力を乱用するのを防ぐために行動しなければならない。真の自由とは、誰もが対等な条件で競争し、市民が真に選ぶ権利を持つ、公平な競争の場を意味する」

 Googleはこの決定に同意せず、異議を申し立てるとしている。

 Googleの規制関連グローバル責任者であるLee-Anne Mulholland氏は、声明で次のように述べた。「これは不当な罰金を科すものであり、求められている変更によって、何千もの欧州企業が収益を得づらくなり、損害を被ることになる。広告の買い手と売り手にサービスを提供することに反競争的な点は何もなく、当社のサービスにはこれまで以上に多くの代替手段が存在する」

 Donald Trump大統領は2025年に入ってから、欧州の規制当局に対し、米国のハイテク企業に罰金を科す団体を追及する政権の方針を示唆していた。Reutersによると、今回のEUによる最新の制裁金は9月1日に言い渡される予定だったが、EUの通商担当委員であるMaros Sefcovic氏の反対を受けて延期されていたという。

 この制裁金は、世界中の規制当局が巨大ハイテク企業の力を抑制しようとする中で科されたものだ。Googleは世界最大の検索エンジン、オンライン広告市場、ウェブブラウザー、モバイルOSを運営しており、同社はしばしば規制当局の標的となっている。

 今週、Googleが検索エンジンで違法な独占状態を維持しているとされた米国の画期的な反トラスト訴訟で、判事はGoogleへの是正措置を軽い内容にとどめ、「Chrome」ブラウザーの売却のような、考えうる限り最も厳しい措置は見送った。その後、Googleの株価は上昇した。比較的に緩やかな措置であるにもかかわらず、Googleはこの判断を不服として異議を申し立てると述べた。米司法省も異議申し立てを検討しているという。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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