インド科学技術省(MoST)は8月11日、傘下の科学産業研究評議会中央道路研究所(CSIR-CRRI)が開発したMSS+技術を活用し、ウッタル・プラデーシュ州で総延長202kmの環境配慮型道路建設を進める計画を発表した。本事業は農村道路整備事業PMGSY(Pradhan Mantri Gram Sadak Yojana)の一環として実施される。

(出典:PIB)

MSS+技術は骨材やアスファルトの加熱を必要とせず、天候を問わず施工可能である。従来のホットミックス工法に比べ品質面で優れることが確認されており、耐久性向上や工期短縮に寄与する。CSIR-CRRI所長でありインド道路会議会長を務めるマノランジャン・パリダ(Manoranjan Parida)博士は「本技術によって高品質な道路建設が可能となります」と説明した。

インドの科学産業研究庁(DSIR)長官でありCSIR総裁を務めるN・カライセルヴィ(N. Kalaiselvi)博士は、ウッタル・プラデーシュ州ゴンダ県で完成した道路を視察した。同博士は品質を高く評価し「MSS+技術は建設時の二酸化炭素排出量を大幅に削減し、国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも合致するグリーンインフラを実現します」と述べ、全国的な普及に期待を示した。

州農村道路開発公社(UPRRDA)主任技師のブリジェシュ・クマール・ドゥベイ(Brijesh Kumar Dubey)氏によれば、インド政府からのインセンティブ資金により38本の道路(総延長202km)が30mm厚のMSS+舗装で整備されている。さらに今後の州内プロジェクトにも採用を拡大する方針を示した。

この技術を開発したのは、CRRI上級主席科学者のサティシュ・パンディ(Satish Pandey)氏である。同氏はJMVDインダストリーズ社と共同研究を行い、2021年にMSS+技術を完成させた。初適用は2022年にラクナウ近郊で行われ、道路は3年間にわたり良好な状態を保っている。現在は同州6地区で導入が進んでおり、持続可能な道路インフラ整備の有力な選択肢として注目されている。

MSS+技術は省エネルギーかつ低炭素な施工方法として、インド国内での普及が進むだけでなく、環境負荷の少ないインフラ整備を目指す国際社会にとっても重要なモデルケースとなる可能性がある。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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