『市川團十郎 特別公演』が、2025年10月10日(金)から[南座](京都府京都市東山区)にて幕を開ける。昼の部では通し狂言『三升先代萩(みますせんだいはぎ)』、夜の部では『Invitation to KABUKI 歌舞伎の世界』として、映画『国宝』の中でも演じられた『二人藤娘(ににんふじむすめ)』の他、『菅原伝授手習鑑 車引(すがわらでんじゅてならいかがみ くるまびき)』、『荒事絵姿化粧鑑(はなのえすがたけわいかがみ)』が上演される。公演に先立ち8月に團十郎さんが会見を行った。
「今、菊五郎さんの襲名や、映画『国宝』を通して多くの方々が、改めて歌舞伎に興味を持ち始めているので、今回の公演は初めて歌舞伎を観る方や、歌舞伎にご興味があってもなかなか観たことのない方々に楽しんでいただけるような興行となるようにしたい。」と意気込みを語った。
映画の影響で観客が増えたと、舞台に立つ中で実感しているからこそ、「古典を観てもらうのもすごく大事なことですが、もう少しハードルを下げることができたら。」と、初めて観に来る人に伝わるようにと工夫を凝らす。
「たとえば、お家騒動を題材にした『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』は、予備知識なしに観ると難解に感じる場合があります。毒殺や陰謀、家と家との関係性など、背景を知らないと、場面の意味を理解しきれないこともあるでしょう。だからこそ、古典を現代に通じる形に磨き直すという視点を大切にしています。分かりやすくなりすぎず、初心者もベテランも楽しめる。そんな“中間地点”に作品を置きたい。」
※『伽羅先代萩』に「不破名古屋」の要素を取り入れ、五世團十郎の先行作を元に書き下ろされた作品が『三升先代萩』
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