英国が多国間防衛銀行の参加否定、計画推進に打撃

英財務省はロイターに対し、多国間で出資して防衛銀行を設立する「防衛・安全保障・レジリエンス銀行(DSRB)」構想に参加しない考えを示した。財務省のビル。ロンドンで2024年撮影(2025年 ロイター/Toby Melville)

[ロンドン 4日 ロイター] – 英財務省はロイターに対し、多国間で出資して防衛銀行を設立する「防衛・安全保障・レジリエンス銀行(DSRB)」構想に参加しない考えを示した。各国の再軍備を支援するため国際的な政府系銀行創設の計画にとって打撃となる。

DSRBは昨年、北大西洋条約機構(NATO)の元安全保障顧問、英国の元高官軍人や銀行関係者らが詳細計画を公表した。英国が参加を明確に否定するのは初めて。スチュアート・ピーチ元英国防参謀総長・元NATO軍事委員会議長を含めた退役軍高官グループの助言を受けており、一部のアナリストたちは英国がDSRBの主要支援国の一つになると予想していた。

英財務省は声明で「英政府は提案を支持しておらず、こうした構想の提唱者たちは政府や閣僚の誰も代表していない」と述べた。

事情に詳しい2人の関係者によると、ドイツ、日本、米国、英国を含めた41カ国が8日、DSRBの資金調達方法を協議するためロンドン金融街シティーで開催予定の会合に招かれているという。

DSRBの目的はトリプルAの格付けを持つ国際的な政府系防衛銀行となり、1000億ポンド(1350億ドル)を資金調達して、安価な資金が利用できない国々の防衛事業に供給することなどを目指している。

DSRBは8月、立ち上げを支援するためコメルツ銀行、ING、JPモルガン、LBBW、RBCキャピタル・マーケッツなど複数の民間銀行と契約を結んだと発表した。

英政府高官によると、DSRB構想は防衛支出を増大させて効率を高めるために同盟国と協力するという政府の目標を満たさない懸念があるという。

ドイツ、日本、米国の政府報道官はロイターのコメント要請に応じなかった。

防衛産業関係者はこの計画が多国間の支持を得ることは難しい可能性があると警告している。DSRBは防衛部門向けの資金調達を巡る計画がますます乱立している状況で支持を争っている。

NATO加盟国の多くは2022年のロシアのウクライナ侵攻や欧州に防衛費増額を求めるトランプ米大統領の圧力に対応して、軍事予算を大幅に増やし財政難でも一段の拡大を誓っている。

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Virginia Furness

Virginia Furness covers sustainable finance in London. She writes about how the financial sector is shifting to meet climate and development goals and the impact these changes are having on the flow of money, business, people and planet. She also covers development finance, carbon markets, natural capital and other ESG related issues.

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