英国の企業は夏の間、4年ぶりの速いペースで人員削減を進めた。リーブス財務相による最初の予算の影響が尾を引いていることが示唆される。イングランド銀行(英中央銀行)の調査が明らかにした。
英中銀が4日公表した、企業の財務責任者を対象に行った調査によると、6-8月の英国企業の雇用者数は前年比0.5%減少した。この減少は、2021年以来の大きさ。向こう1年では企業は人員増加を見込んでいるものの、予想を下回る0.2%増にとどまる。
労働党政権は公的財政を立て直そうと、雇用主が負担する給与税と最低賃金の引き上げを行った。給与税の負担は総額260億ポンド(約5兆2000億円)増加し、4月に発効されたが、この影響が雇用に表れていることが今回の調査で示された。
調査に対して、約半数の企業は給与税の負担増加に対応して人員を削減していると回答した。これは人員削減の理由として、利幅低下に次いで多い回答だったという。
英中銀のベイリー総裁は3日、将来の利下げ判断では雇用市場の健全性が重要になるとの認識を示した。インフレが高止まりする中で一段の金融緩和に政策担当者は慎重だとしつつ、自身は労働需要の弱さを引き続き懸念していると、総裁は述べた。
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英中銀の調査では、企業の間で価格上昇圧力の再燃に対する懸念が高まっていることも示された。
企業が見込む1年先のインフレ期待は3.3%に上昇し、1年5カ月ぶりの高水準だった。3年先のインフレ期待も2.9%と、1月以降で初めて上昇した。
原題:UK Firms Cut Jobs at Fastest Pace Since 2021, BOE Survey Shows(抜粋)
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