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 【神戸市発、大浦智子】兵庫県神戸市を拠点に活動するNPO法人関西ブラジル人コミュニティCBK(東連寺八郎理事長)と公益財団法人兵庫県国際交流協会が共催する「第16回ブラジル・日本の子どもの絵の交流展」が、8月2日から来年1月31日まで同市の海外移住と文化の交流センター2階で開催されている。

 この展覧会は毎年テーマを設けて開催されており、今年は日伯修好通商航海条約締結130年の節目を記念して「ブラジル大好き!日本大好き!」をテーマとした。会場には両国への思いを込めた心温まる作品が並び、来場者を引き付けている。

 出品作品は、5歳から15歳までのCBKのポルトガル語教室に通う子ども達や、日本にあるブラジル人学校4校、兵庫県の姉妹都市であるパラナ州をはじめ、サンパウロ州などブラジル各地52校の子ども達が描いたもの。8月中旬の時点で約230点が届き、最終的には約400点の作品が展示場いっぱいに並ぶ予定。

 展示は年齢別に5~8歳、9~11歳、12~15歳の3部に分けられ、来場者は各部から3作品ずつ気に入ったものに投票できる。昨年は約330人が投票に参加した。入賞者には自身の作品が印刷された表彰状が送られ、さらにブラジルでも各学校で表彰式が行われている。これにより子ども達の日本への思いが高まり、日本語学習へのモチベーション向上にもつながっている。

 投票数の多い順に各部から8作品ずつが選ばれ、翌年のカレンダーに採用される。大判カレンダーは日本国内の学校や関係機関に、縮小版はブラジルの学校や関係機関に送付される。

 同展は16年前、施設に来館者を呼び込むイベントの一つとして始まった。当初はCBKの子ども達のみが出品していたが、日本国内のブラジル人学校、さらにブラジル現地の学校へと広がり、両国をつなぐ象徴的な事業として定着している。

 昨年のテーマは「私の家族」であり、ブラジルらしい温かい家庭の雰囲気を表現した作品が多く集まった。東連寺理事長は「子どもの絵を通して各国の文化の様子を垣間見ることのできるイベントです」と語る。

 一方で、展示会の準備には地道な作業も伴う。作品の裏にポルトガル語で記された作者名や学校名、作品説明を日本語に翻訳する必要があり、大量の作品に対応するのは容易ではない。こうした場面で大きな支えとなっているのが、国際協力機構(JICA)の「在日日系支援プログラム」を通じて来日している日系サポーターだ。

 CBKには3年前からサポーターが派遣されており、今年5月からはサントス出身のギリェルメ・ウエハラさん(4世)と、サンパウロ出身のヨランダ・モチヅキさん(3世)が活動にあたっている。展示会の運営だけでなく、在日ブラジル人家族への生活支援や、毎週土曜日に開かれるブラジル人児童向けポルトガル語教室でも力を発揮している。 「日系サポーターのおかげで、このイベントも大変助けられている」と東連寺理事長は感謝を述べた。

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