■「TOKYO H2」プロジェクト始動:水素で世界をリードする

 2025年9月3日に水素バリューチェーン推進協議会、東京ハイヤー・タクシー協会は、東京都が主導する「TOKYO H2」プロジェクトに参加することを表明。

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 同日には「プロジェクト発表会」「FCタクシー出発式」「水素エネルギー体験イベント」が開催されました。

「TOKYO H2」プロジェクトは、”水素で世界をリードする東京”を目指し、官民連携で燃料電池商用モビリティの普及など「水素を使う」アクションを加速させることを目的としています。

 具体的には、タクシーやトラックなど、燃料電池商用モビリティをはじめとした「水素を使う」アクションを官民連携で加速させることを目的としています。

 参画する企業や組織は、水素をテーマとしたさまざまな取り組みを実施し、プロジェクトのロゴやデザインを統一することで、水素の普及を街中で”見える化”し、社会全体での理解と関心を高めることを目指しています。

 今後、燃料電池タクシーに加え、商用分野での施策が随時展開される予定です。

 今回は、その一環としてトヨタ「クラウンセダン(FCEV)」をタクシーとして導入することが明らかになりました。

 このクラウンセダンは、足元で2025年内に計100台、2025年度内までに計200台が東京都内のタクシー事業者に導入されます。

 そんな本プロジェクトの発表会において、小池百合子東京都知事は「深刻化を増す気候変動への対応、そしてエネルギーの安定確保など、まさに私たちは明るい未来を目指す、その上で極めて重要な課題に局面を考えているところでございます」と述べました。

 さらに「燃料電池タクシーが都内の街を走り、水素のある社会を身近に感じていただきながら、みんなで水素を使うアクション、これを加速させてまいりましょう。そして水素社会の実装を力強く推進をしてまいりたい」と意欲を示しました。

 また水素バリューチェーン推進協議会の佐藤恒治会長は「日本で水素社会を実現していくために、ここからは社会実装を増やしていくフェーズである」と述べ、水素モビリティの重要性を強調。

 2030年度までには燃料電池小型トラック(約3600台)、燃料電池大型トラック(約500台)、燃料電池バス(約300台)、そして今回のクラウンセダン(FCEV)をベースとしたタクシーを約600台という普及目標を掲げていることを紹介。

 また佐藤会長は「東京から水素の未来を切り開こうと官民一体となって社会実装を加速していこうというこのプロジェクトに、強い意志が感じ取れる」と評価しました。

 さらには「私たち事業者も一体となって水素社会を目指して全力で取り組んでまいります」と決意を表明しました。

 対してタクシーを使う側の代表となる東京ハイヤー・タクシー協会の川鍋一郎会長は「タクシーが水素を使う意義」について言及。

 東日本大震災時にガソリン不足でもLPGガスを使用するタクシーが活躍した経験から、エネルギー源の多様化の重要性を語りました。

 また、水素自動車の普及におけるタクシーの役割について「タクシーがたくさん走ってそこで整備ができる。問題解決ができる。そしてタクシーに乗ることになるとお客様の中でそれが浸透している。走る広告となる」と述べ、かつてトヨタが自家用車を展開する際にもタクシー業界が先駆的役割を果たした歴史を紹介しました。

 トヨタは水素を重要なエネルギーと位置づけ、「つくる/はこぶ/ためる/つかう」の各領域において、水素利活用の促進に向けて多くの企業や組織と連携してさまざまな取り組みを進めています。

 同社は今回のプロジェクト参画について「水素の社会実装を進める東京都の思いに共感し、クラウンの導入を通じ、多くの人に水素社会を身近に感じていただきたい」(佐藤会長)と考えを示しています。

 また、「まとまった水素需要の創出により、サプライチェーンの好循環を作り、仲間を増やしながら、東京都や水素エネルギーを扱う企業や組織とともに、”水素で社会をリードする東京”の実現に向けて尽力します」(佐藤会長)と述べ、水素社会の実現に向けた取り組みを加速する姿勢を明らかにしています。

※ ※ ※

 今回の「TOKYO H2」プロジェクトは、燃料電池タクシーの大量導入という全国初の試みをきっかけに、東京都が水素社会の実現に向けて大きく踏み出す取り組みです。

 様々な企業の参画により、水素エネルギーの普及と社会実装が加速することが期待されています。

 今回、発表会と共に水素体験イベントが都民広場で開催され、ホンダ「CR-V e:FCEV」、トヨタ「SORA(燃料電池バス)」、「FC小型トラック(電池トラック)」、トヨタL&F東京「燃料電池フォークリフト」、トヨタ紡織「Hydrogen Bike」などの展示や、水素を使った料理などを味わうことが出来ました。

 このような官民一体となった取り組みにより、東京が世界に先駆けて水素社会を実現するモデル都市となることができるか、今後の展開が注目されます。(くるまのニュース編集部)

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