斎藤元彦・兵庫県知事(写真:共同通信社)
兵庫県・斎藤元彦知事の去就は、多くの日本人にモヤモヤ感を残す問題の一つです。
現在、彼とその周辺には、以下のような疑いが提示されていますが、その捜査は遅々として進んでいません。
①公職選挙法違反容疑で書類送検(PR会社に謝礼を支払った疑い)。
②背任の疑いで書類送検(阪神タイガース優勝パレードの寄付金のキックバック)
どちらも、成立すると一定期間の選挙権、被選挙権が制限されるか停止されますが、容疑については、斎藤知事は関与を否定しています。
元局長の「告発」、第三者委員会が「事実」と認めたものは…
しかし、知事の問題はそれだけではありません。
渡瀬康英元県民局長が生命を賭して、訴えた告発は多岐にわたります。●最初の知事選に関する事前運動問題●贈答品受領問題●政治資金パーティー券問題●パワハラ問題●五百旗頭真理事長急死問題(副知事(当時)が「ひょうご震災記念21世紀研究機構」の五百旗頭真理事長(故人)に、副理事長2人の解任を通告、これにストレスを感じていた五百旗理事長は急死した)など。
この内容について、兵庫県の「文書問題に関する第三者調査委員会」は、今年3月19日、県に対して調査報告書を提出。そこでは「パワハラ」については事実を認定。
その他の6項目については「そのような事実は認められなかった」「違法な点があったとはいえない」などとしましたが、一方で告発文書について「数多くの真実と真実相当性のある事項が含まれており、『嘘八百』として無視することのできないもの、むしろ、県政に対する重要な指摘をも含むものと認められた」と記しました。
3月26日の記者会見で、第三者委員会の報告書で事実認定されたパワハラについては謝罪した斎藤元彦知事(写真:共同通信社)
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同報告書は、
「異なる意見は、自身に、また組織に幅をもたらす。本件文書によるパワハラの指摘は、内部通報を通じ、知事を含めた幹部職員を対象とする組織マネジメント力向上特別研修の実施につながった。贈与問題についての指摘は、財務規則の改正とガイドラインの策定等、物品受領ルールの明確化として結実した。本件文書の作成と配布、それにつづく内部公益通報は、県の組織体制の改善につながったのである」
と、元局長の告発の効果を評価したうえで、こうも記しています。
「通報は、そのすべてが真実であるとは限らない。当事者が見れば明らかに誤りとわかる場合もある。しかし、誤りであっても、第三者として見れば疑惑が生じうる客観的な事情が存するときもある。上記優勝パレードの件では、本調査委員会も、詳細な調査を行うまで事実関係を理解することができなかった。そのような場合に指摘を誤りであると一蹴することは適切ではない」
ところが、斎藤知事は、「7つの事項のうち6つの事項については事実とは認められなかった」と、あたかもほとんどの内容については嫌疑が晴れたかのような態度を示し、渡瀬元局長の告発当初に発した「嘘八百含めて文書を作って流す行為は、公務員として失格」という発言について謝罪しようともしていません。
そして、県議会で不信任案が可決され、知事を失職した後の出直し選挙において、前述のPR会社の関与が深く疑われていながら、今も知事の座に座り続けています。
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