地位にしがみつくつもりまったくない=自民両院総会で石破首相

 9月2日 自民党は2日午後、参院選大敗の要因を分析した総括文書を取りまとめたのを受けて両院議員総会を開催した。写真は石破茂首相。7月23日、都内で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 2日 ロイター] – 自民党の森山裕幹事長は2日午後、辞意を表明した。7月の参議院選挙の総括をこの日に終え、大敗した責任を取る。内閣の一部からも臨時総裁選の開催を求める声が出る中、今後の焦点は8日をめどに判明する議員・党員による総裁選前倒し判断となる。

森山氏は、党総裁の石破茂首相に「進退を預ける」と説明。辞任が受領された場合、後任が決まるまでは幹事長職にとどまるとの見通しを示した。石破首相が慰留した場合の対応については回答を控えた。政権の要である森山氏が辞任すれば政権運営への影響が懸念される。

石破首相は同日夕、官邸で記者団の取材に応じ、森山幹事長の辞表について「適切に判断する」と述べた。その上で、これまで石破政権が継続してきたのは森山氏が党内外で取りまとめや交渉を担ってきたからであり、「余人をもって代えがたい方だと今でも思っている」と評価した。

自身の責任については「しかるべき時期に判断する」と説明したが、具体的な時期などは明言を避けた。

自民党はこの日、参院選の敗因を総括。その後に両院議員総会を開いた。

総会の冒頭、石破首相は敗北について改めて陳謝し、「地位にしがみつくつもりは全くない」、「責任から逃れることなく、しかるべき時にきちんとした決断をする」と述べた。「多くの同志を失ったことはひとえに私の責任だ」とすると同時に、「(日米の)関税交渉はきちんと道筋をつけないといけない」とも述べた。

ロイターが入手した総括文書では、参院選敗北の「主な要因」として、1)内閣の支持率低下により党の基礎体力が低下した、2)若年層・現役世代と一部保守層の流出を招いた──ことなど4項目を列記。「党離れを招いたと考えられる経緯と要因」については、1)物価高対策が国民に刺さらず争点設定も不発、2)「政治とカネ」を巡る不祥事により信頼を喪失した、3)発信力が弱くデジタル対応に遅れを取った──ことなど9項目を挙げた。

 最後に「党再生への誓い」を記載。「何よりも優先すべきことは国民生活に影響を及ぼさないよう、政策を遅滞なく実現させること」だとし、「党の一致結束が何よりも重要」と強調。「国民から突きつけられた『現状からの脱却』という至上命題を真摯に受け止め、党を一から作り直す覚悟で解党的出直しに取り組む」と結んだ。

総会で森山裕幹事長は、参院選の敗因について「わが党として国民に寄り添い、暮らしの安心を確実に届けることができなかったことに尽きる。執行部に身を置く者として責任を痛感している」と陳謝した。その上で党として一致結束し、国民の信頼を取り戻す重要性を訴えた。

出席した片山さつき元地方創生担当相は「総括の内容は総じてバランスが取れていた。総裁が『地位に恋々としない。しかるべき時に判断する』と言ったことは多くの方が評価すると言っていたし、私もいいと思う」と指摘した。

総括文書取りまとめを受け、自民党は臨時総裁選の是非を問う国会議員・都道府県連代表への意思確認手続きに入る。自民党の総裁選管理委員会は8月27日、国会議員や都道府県連代表が臨時総裁選を要求する場合は書面の提出を求め、提出日(期限)は9月8日とする方針を示している。実施には過半数(172)の要求が必要となる。

竹本能文、鬼原民幸、杉山健太郎

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鬼原民幸

2025年6月からロイターで記者をしています。それまでは朝日新聞で20年間、主に政治取材をしてきました。現在、マクロ経済の観点から日々の事象を読み解く「マクロスコープ」の取材チームに参加中。深い視点で読者のみなさまに有益な情報をお届けしながら、もちろんスクープも積極的に報じていきます。お互いをリスペクトするロイターの雰囲気が好き。趣味は子どもたち(男女の双子)と遊ぶことです。

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